
意外にもムンクは最新のテクノロジーにとても関心をもっていたようです。たとえば、写真。この展覧会では珍しいムンクの写真作品を見ることができます。写真の影響から生まれた絵画作品も多く、有名な『赤い蔓草』もそのひとつ。あの奇妙な構図(前景に人物の正面像が肩から上だけ描かれている)、たしかに写真の構図そのものです。
映画に影響を受けたと思われる作品もあります。『家路につく労働者たち』は、まるでリュミールの最初の映画「工場の出口」を見ているよう。この絵からは、社会主義思想が輝いて見えた時代の雰囲気も感じられます。ひたすら自己の内面だけを見続けた画家……というイメージとはうらはらに、ムンクのまなざしは外の世界にもしっかり向けられていたのです。
私が最も心惹かれたのは、展覧会のポスターにもなっている『星月夜』など、ゴッホ?マティス?と見まがうような、鮮やかな色彩の作品群。ゴッホやマティスよりももっと透明感があり、叙情的でメランコリックで……。ムンクが希有な色彩画家だったことに気付かされました。

「ムンク~現代の眼」展は、2012年1月9日まで。年末年始の旅行でパリに行かれる方は必見です。多くの美術館が閉館する12月25日と1月1日も開いていますので、是非!


先月パリのシャンゼリゼ劇場で聴いた、アレクサンドル・タローとカナダの古楽器アンサブル「レ・ヴィオロン・デュ・ロワ」の演奏会が、早速フランスのラジオ局France Musique(http://www.francemusique.fr)で放送され、オンデマンド配信されています。聴くと、あの夜の幸せな気分がよみがえってきました。アンコール2曲目は、ハイドンのピアノ協奏曲と判明。ハイドンってこんなチャーミングな曲書いてたのね。キラキラした音色、即興性と遊び心にあふれた、アレクサンドル・タローならではの刺激的な演奏でした。間違いなくこの夜一番盛り上がった演目で、客席の興奮がラジオからも伝わってきます。

これは、ここ1年ほどヘビロテで聴いている、クープラン、バッハ、ラモーの作品集(お得な3枚組)。3枚のうちどれが一番とはいえないほど、全部好きです。どんなに心が荒れているときも、少し聴くだけですっとクリーンな世界に入り込めます。癒しの音楽というとなんだか安っぽく聞こえますが、私にとってはこれこそがまさに癒しの音楽。媚薬を飲んだかのように、ただただ官能の快楽に浸ることができるんだもの・・・。媚薬ならいつか使い果たしてしまうけれど、音楽はいつまでもなくならないのもいいです。


この夜のチーズは「コンテ」と「ピコドン」。7区の「マリ・アンヌ・カンタン」という老舗のチーズ店で買いました。コンテは今まであまり好んで食べたことはなかったけれど、さすが専門店で「一番おいしいコンテを」と言って選んでもらっただけあって、とてもおいしかったです。ミルク味の中に、木の実のような甘みや、フルーツのようなかすかな酸味が混じり合って、なんともいえない複雑な味わい。コンテの魅力に開眼しました。ピコドンは、この夏、プロヴァンスではじめて食べて感動したチーズ。そのときはとろとろの食感がたまらなかったのですが、今回は、気温のせいか?熟成期間のせいか?もっと身がひきしまって、ねっとりむっちりという感じ。こくがより深くなったようで、また違うおいしさがありました。
合わせたのは、コンテと同じ地方のワイン「アルボワ」。名前は知っていたけれど、飲むのははじめて。日本ではめったに見かけないワインですが、パリでもあまり出回っていないそうです。そんな珍しいワインがチェーン店の「ニコラ」で7.50ユーロというのはお得だったかも。きれいな金色で、花の蜜のような香りとこくがあり、すごく好みの味。やはりコンテとの相性は最高でした。
冬にフランスに行ったら必ず食べたいと思っていたのが「モン・ドール」。秋から冬にかけてしか生産されない季節限定のチーズです。

こうして木箱に入ったまま、木のスプーンですくって食べます。ウォッシュタイプにしては匂いは強くなく、ほんのりと香る木の香りが心地いいです。食べる1時間ほど前に冷蔵庫から出しておくことが大切。とろとろになったモン・ドールは、なめらかでクリーミーで、やみつきになるおいしさ♪ 日本では「幻のチーズ」などと呼ばれ、値段も非常に高い(小さいものでも3000円超え)ですが、パリではどのチーズ屋さんでも10ユーロほどで売っています。ほんと、このためだけに毎年冬、パリに行きたいくらい!
今回はたまたま11月の第3木曜、つまりボジョレー・ヌーヴォーの解禁日にパリにいたので、ボジョレーと一緒にいただきました。今年のボジョレーは「ここ10年で最高の出来」とかで(毎年同じこと言ってるような気がするが…)、こちらもとてもおいしかったです。

今回はたまたま11月の第3木曜、つまりボジョレー・ヌーヴォーの解禁日にパリにいたので、ボジョレーと一緒にいただきました。今年のボジョレーは「ここ10年で最高の出来」とかで(毎年同じこと言ってるような気がするが…)、こちらもとてもおいしかったです。



付け合わせのジャガイモのピュレがまたおいしくて…。こんなになめらかでクリーミーなピュレをレストランで食べるのははじめて。

さて、食事中に、テーブル担当の男の子が近づいてきて、何やら耳打ちしようとする。何だ?と思ったら、「今からシラクさんが入ってくるよ」だって。振り返って窓の外を見ると、シラクさんがレストランの前で車を降りたところだった! 本当に常連なんですね。アルツハイマー病を患っているという報道もありましたが、すごくお元気そうに見えました。あれは裁判逃れのための仮病に違いない(決めつけ)。
お勘定は、ふたりでメインとグラスワイン、コーヒー1品ずつで、67ユーロ。決して安い店ではないけれど、安心しておいしい肉料理を食べられるうえ、エッフェル塔近くで、年中無休でやっているという点でも貴重なレストランです。
Restaurant Pere Claude
51,avenue de la Motte-Picquet 75015 Paris
http://www.lepereclaude.com
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