2009年 05月 01日
DHM50枚ボックスを聴く(2)
Disc27「Machaud/Messe a Notre-Dame マショー/ノートル・ダム・ミサ」
思わず「なんじゃこりゃー」って叫んでしまいました。
このボックスに入っているのは、どれも心にさわやかな風を運んでくれるような音楽ばかりなのですが、これは・・・・・・なんというか、心にどす黒い炎が吹き込まれたようです。不気味な音階、不気味な発声。どこぞの異教の神を称えるミサか?と思ってしまいます。
作曲者のギヨーム・ド・マショーは1300年生まれとあります。つまりバロックより、ルネサンスよりも古い、ゴシック期の音楽なんですね。この頃には、こんな音楽が普通だったのでしょうか。魔女狩りとか火あぶりの刑とか平気でやっていた頃ですから、今とは感覚がまったく違うのでしょう。
聴きながら、パリのノートルダム大聖堂を思い出していました。
この聖堂が完成したのは、14世紀前半ですから、まさにマショーと同時代ということになります。
正面の入口、これは最後の審判を描いたものですが・・・・・・
おもしろいのはやはり地獄に堕ちた人々の表現。
ゴシックの聖堂に来ると、こういう彫刻にばかり目がいってしまいます。聖マリアやキリストよりも、こちらのほうが生き生きしていて、作った人の本性が表れているように思います。
マショーの「ノートルダム・ミサ」にも同じような猥雑さを感じます。キリスト教と、それ以前の土着の信仰が渾然一体となったような。
一瞬にして、700年の時をさかのぼらせてくれる、非常におもしろい音楽。これからも怖いもの見たさ(聴きたさ)で、頻繁に聴くことになるでしょう。