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ラ・フォル・ジュルネ2010(5月2日)

「ラ・フォル・ジュルネ2010」のテーマはショパンですが、私が1日目に聴いたのは、ショパンではなくメンデルスゾーンの曲。オラトリオ「パウロ」です。

この曲は、去年買った「ハルモニアムンディフランス宗教音楽BOX」に入っていたのを聴いて興味を持ちました。もちろん実演に接するのは初めてです。演奏会で取り上げられること自体非常に珍しいようなので、この機会を楽しみにしていました。

指揮はミシェル・コルボ、演奏はローザンヌ声楽アンサンブルとシンフォニア・ヴォルソヴィア。すばらしい作品、すばらしい演奏でした。特に、合唱は本当に神がかり的な美しさ。2時間休憩なしの長丁場でしたが、まったく退屈する部分がありませんでした。

新約聖書の中でも「使徒行伝」はあまり熱心に読んでいないのですが、「サウロの回心」のくだりだけはよく読み返します。私はキリスト教信者ではないので、宗教的な意味ではなく、ひとりの人間の劇的な生まれ変わりの物語として、心ひかれるのです。

オラトリオ「パウロ」でも、一番盛り上がるのが、「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」という天からの声(女声合唱)が響く第14曲あたりから。「立ち上がり、光となれ」という力強い合唱に続いて、バッハの有名なコラール「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」が歌われると、もう涙腺崩壊していました……。

パウロの物語は、ユダヤ人でありながらプロテスタントに改宗したメンデルスゾーンにとっても切実なテーマだったのではないかと想像します。ハルモニアムンディBOXに入っているヘレヴェッヘ盤も、聴き込んでいこうと思います。演奏会場で歌詞の対訳(300円)を買おうかどうか迷ったのですが、買っておいてよかった。これからも末永く役立ちそうです。
by AngeBleu | 2010-05-03 01:07 | 音楽