Trans Europe Express


フランス、ドイツなどヨーロッパの旅の話題を中心に、映画、音楽、ダンス、アート鑑賞記録も。
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ラ・フォル・ジュルネ2010(5月3日)

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「ラ・フォル・ジュルネ2010」2日目の5月3日に聴いた3公演の感想です。

公演No.252 ホールD7 11:45-12:30
アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
ラヴェル:蛾(「鏡」より)
ラヴェル:悲しい鳥たち(「鏡」より)
ショパン:ノクターン 嬰ハ短調
ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調
ドビュッシー:水に映る影(「映像第1集」より)
ショパン:子守歌 変ニ長調
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調
ラヴェル:洋上の小舟(「鏡」より)


アンヌ・ケフェレックを一度聴いてみたかったのと、ショパンのピアノ曲で一番好きな「舟歌」が入っているから選んだ公演。ショパンの作品の中でも、フランス的、印象派的な色彩の強い曲に、ショパンに影響を受けたフランスの印象主義の作曲家たちの作品を交えた、非常に興味深いプログラムです。「水と大気を感じながら、あてどのない旅に出るような時間にしたい」というケフェレックさんの言葉どおり、いつしか心は小さな会場から飛び立ち、さわやかな風に吹かれながら、水面にきらめく光や、葉の間からしたたる光を見ているような気分に……。なんともいえない幸福感に包まれる、夢のような1時間でした。

公演No.253 ホールD7 13:30-14:15
タチアナ・ヴァシリエヴァ(チェロ)
ジャン・フレデリック・ヌーブルジェ(ピアノ)
アルカン:チェロとピアノのための演奏会用ソナタ ホ長調
ショパン:チェロ・ソナタ ト短調


去年リサイタルを聴いて以来お気に入りのピアニストになったジャン・フレデリック・ヌーブルジェが出演。チェロ・ソナタとはいえ、どちらの曲も、ピアノが同等に活躍し、技巧的な聴きどころがいっぱいでした。知的で端正でありながら、若いエネルギーがはじけるようなジャン・フレデリックのピアノは相変わらず魅力的。タチアナさんのチェロも同じくみずみずしさにあふれたすばらしいもの。ふたりの息もぴったりあって、胸のすくような演奏でした。
(帰宅してラジオをつけると、ちょうどNHK・FMにジャン・フレデリックが生出演してインタビューに答えていました。それによると、彼は24時間前にアメリカでコンサートをして、その足で日本に向かって、今日7公演をこなしたそうです。すごい。若いっていいなあ。)

公演No.213 ホールA 14:30-15:30
イーヴォ・ポゴレリッチ(ピアノ)
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ゲオルグ・チチナゼ(指揮)
エルスネル:交響曲 ハ長調
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調


前の公演が終わった時点で、この公演が始まる15時30分をすでに過ぎていました。そりゃ、チェロ・ソナタ2曲やって45分で終わるわけないよねえ。終わるやいなや、拍手もそこそこに(ほんとごめんね)ホールD7からホールAへ走りました。ホールAに着いたときには、すでに1曲目の交響曲は始まっていて、これが終わるまで扉の外で待つことになってしまいました。スピーカーから流れてくる曲を聴くと、ハイドン風のごくごく普通の古典派の交響曲だったようです。次のピアノ協奏曲までの腕ならしみたいなもの?

そしていよいよポゴレリッチ登場(以下「ポゴたん」と略します)。何年か前のリサイタルで聴いたあまりにも異様なショパン(ピアノ・ソナタ第3番)が忘れられず、楽しみ、というよりは、怖いもの見たさ的な気持ちでやってきました。果たして、あの個性的というか、ムチャクチャな(笑)演奏に、オーケストラが合わせられるのか!?

今回も、最初の1音からポゴたん節炸裂!! スローというのを通り越して、音がひとつひとつ分解されてしまって……なんの曲をやっているのか、わからなくなってしまうほどです。耳に心地よい、甘美でロマンチックなショパンはどこにもありません。ひたすら暗く、苦悩し、立ち止まり、慟哭するショパン。それなのに……壮絶に美しいんです。好き嫌いはさておいて、ここにいたすべての人が、何かとてつもなくすごい演奏会に立ち会ったという気持ちになったのではないでしょうか。驚いたのは、意外にもオーケストラがポゴたんによく合わせていたこと。変幻自在のテンポにしっかり寄り添って、ときにはともにすすり泣き、ときにはやさしく包み込むような……すばらしい伴奏だったと思います。

あと、聴衆の集中力もすごかった。5000人収容のホールは満席。ポゴたんをはじめて聴く人、そしておそらくはクラシックの演奏会自体はじめてという人も少なくなかったであろう会場で、全員が身じろぎもせず耳をそばだてていたのは奇跡のよう。あるいはポゴたんの黒魔術で金縛りにあっていたのか。私もそういう状態でした。

演奏が終わると、緊張が一気に溶けたように大ホールはものすごい拍手と歓声に包まれました。ポゴたんは非常に満足げな顔で指揮者にほほえみかけ、自分で楽譜を持って退場。その堂々たる姿は、まるで花道を歩く横綱(笑)。ポゴたん、いつのまにそんな風格を身につけたの? 1990年代のCDジャケットの、ちょっと不良っぽい華奢な美少年とはまったくの別人です。

ここまでですでに終演予定時刻をかなり過ぎていたのに、ポゴたん、再度楽譜を抱えて登場しました。なんと、まさかのアンコール! 第2楽章を再び全曲演奏してくれたのです。最初の演奏とは微妙に変えてきていたような気がします。先ほど聴いた時とはまた違う感慨におそわれ、涙にむせんでしまいました。

ポゴたん初体験だった相棒Tもすっかり気に入ったようです。5月5日にはサントリーホールでリサイタルがあります。ますます楽しみになってきました。
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by AngeBleu | 2010-05-04 20:36 | 音楽

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