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ベルリン国立バレエ団『チャイコフスキー』(1月20日)

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ベルリン国立バレエ団が5年ぶりに来日公演中です。マラーホフ作の『シンデレラ』、エイフマン作の『チャイコフスキー』、そしてガラ公演と、どれも心そそられる演目ばかりでしたが、お財布事情から、マラーホフが主役のチャイコフスキーを演じる『チャイコフスキー』のみの鑑賞となりました。

マラーホフといえば、王子さまだったり、妖精だったり……、浮世の悩み苦しみとは無縁の、ただただ美しく人間離れした存在で、それがゆえに長年ファンをやっているわけですが、今回の『チャイコフスキー』では、王子さまでも妖精でもない、ただの「人間」になりきっていて驚かされました。あのマラーホフが、無精ひげにぎらぎらした目の中年男を、汚辱にまみれた生とみじめな死を演じる日がこようとは……。最初のシーンでの死後硬直を思わせる体や、お金持ちのパトロン夫人がばらまいた札束をかき集めて卑屈に笑う表情など、心底ぞくっとしました。もちろん美しい踊り姿も堪能。特に第2幕後半、裸に黒いジャケットで踊るシーン、マラーホフのこんなキレキレの踊り見たのはじめてかもしれない。このシーンはコールドの男性陣もすごく妖しげでかっこよかったです。

『チャイコフスキー』、まさに「今のマラーホフ」に会うことができる作品でした。マニアックな作品なのに、これを日本公演に持ってきてくれたことに本当に感謝しています。ところで、今年の5月にベルリンで再演される『オネーギン』では、なんとマラーホフが今まで踊っていたレンスキーではなくオネーギンを踊るらしいですね。これを聞いたときは、「全く想像できない~キャラ違うし」と思ったのですが、今回のチャイコフスキーになりきっていたマラーホフを見て、今の彼ならオネーギンもきっといいだろうなあと思うようになりました。ああ、5月、ベルリンに行きたい!
by AngeBleu | 2011-01-22 21:19 | バレエ