Trans Europe Express


フランス、ドイツなどヨーロッパの旅の話題を中心に、映画、音楽、ダンス、アート鑑賞記録も。
by AngeBleu
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

マラーホフの贈り物Aプロ(2013年5月21日)

3年ぶり、そして、最後の「マラーホフの贈り物」。

「白鳥の湖」第2幕より
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・マラーホフ

「トゥー・タイムス・トゥー」
振付:ラッセル・マリファント 音楽:アンディ・カウトン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

「ギルティー」
振付:エドワード・クルグ 音楽:フレデリック・ショパン
マライン・ラドメーカー

「ラ・ペリ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:ヨハン・ブルグミュラー
吉岡美佳、ウラジーミル・マラ ーホフ

「海賊」より奴隷のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽:コンスタンティン・フリードリヒ・ペーター
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ

「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:ベンジャミン・ブリテン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー

「レ・ブルジョワ」
振付:ヴェン・ファン・コーウェンベルク 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル

「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア 音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ

最初の演目、「白鳥の湖」で王子が登場した瞬間、軽くショックを覚えました。
え、誰? まさか、これがマラーホフ?
重い・・・腕とか胴回りとか・・・太い ・・・
まるで筋肉付き肉襦袢を着ているみたいです(泣)
あの妖精マラーホフはどこへ行ってしまったの(大泣)

マラーホフは4演目の出演だけど、3演目は女性を持ち上げたり回したりするだけで、ほとんど見どころなし。ソロの演目が当初予定されていた「ヴォヤージュ」から「瀕死の白鳥」に変更となったのも、かなりがっくりでした。「瀕死の白鳥」は前回見て正直つまらんと思った作品でしたから。

しかし!
その「瀕死の白鳥」が素晴らしかったのです。前回とは全然違う作品に見えました。死への戸惑い、諦念、覚悟、そして、精一杯生きてきたことへの誇り。満身創痍の今のマラーホフだからこそできた表現だと思います。まさにマラーホフ の白鳥の歌のように思えて、涙が止まりませんでした。

やはり今回も期待を裏切らなかった・・・というより、期待とはまったく違った部分で驚かせ感動させてくれたマラーホフ。今度の日曜日のBプロが、いよいよ本当に最後の贈り物となります。足を傷めているというのが心配だけど、「ヴォヤージュ」踊ってくれるといいな・・・。

その他のダンサーに関して。10年ぶりくらいに見るルシア・ラカッラは、相変わらず驚異的な体の柔らかさと可憐な容姿。アクロバティックな演目でしか見たことがなかったけれど、「椿姫」のようなドラマティックな役柄も似合うのですね。

もうひとりお目当てだったマライン・ラドメーカーは、なんと公演日の朝、日本 に到着したのだとか。ソロのコンテンポラリー作品は、ショパンの曲に合っているのか合っていないのか、いいんだか悪いんだかわからないけど、ラドメーカーの踊りはすごくよかった。というか、はっきり言いましょう。「顔」がいいんです! バレエの感想とは思えない感想で申し訳ない(笑)
[PR]
by AngeBleu | 2013-05-22 22:39 | バレエ

ロパートキナの「白鳥の湖」(2012年11月20日)

3年ぶりのマリインスキー・バレエ。「白鳥の湖」を、自宅から車でわずか15分のところにある府中の森芸術劇場で観ることができました。お目当てはもちろん、ウリヤーナ・ロパートキナです。こんな東京の外れの田舎町で、世界の至宝、ロパートキナの白鳥が見られるなんて~ありがたいことです。

ロパートキナの白鳥のすばらしさについては、いたるところで語り尽くされているので、今さら何も言うことはないですね……。ただ美しい踊りを見ているというのではなく、「美」そのものを見ていた3時間。ロパートキナは、神の「イデア」を人間の目に見えるように伝えるべく選ばれた芸術家なのだと思いました。

さて、「白鳥の湖」のラストには、大きく分けて3つのバージョンがあります。

1.王子が悪魔に勝利して、オデットと結ばれるハッピーエンド
2.王子とオデットは湖に身を投げ、天に昇って行く(現世では結ばれないが、あの世で結ばれるからハッピーエンドといえなくもない)
3.王子とオデットは引き裂かれ、あの世でも決して結ばれることはない

最近は、1のハッピーエンドバージョンの演出は減っているのだとか。今年観た他のふたつの「白鳥」(ボリショイ、シュトットガルト)は両方、3の究極のバッドエンドでした。たしかに、物語として納得できるのは3ですね。愛し抜くことができなかった者は、死後も永遠の責め苦を負うべきだと思いますから。1バージョンでは、王子が悪魔の翼をぶちっと引きちぎって、悪魔がアイタタ……って苦しんで死ぬんです。デパートの屋上でやっているヒーローショーかよ(笑)って突っ込みたくなりますよねえ。ところが、今回のマリインスキーの「白鳥」はそのあほらしい1バージョンなんです。

でも、ロパートキナの「白鳥」に限っては、ハッピーエンドでよかったな~と思いました。魔法が解けて、白鳥から人間の女性に戻ったときの姿が見られるから! 冷たく冴え冴えとした表情が一転、晴れやかな笑顔に変わる瞬間。あの花のような笑顔を見たら、ストーリーの荒唐無稽を忘れてしまいます。「白鳥」の一番の見どころといえば、オデット/オディールの演じ分けですが、ロパートキナの場合は、人間の女性というもうひとつのキャラクターも演じているのですね。すごい。
[PR]
by AngeBleu | 2012-11-25 19:42 | バレエ

東京バレエ団「オネーギン」(2012年9月30日)

一昨年初めて観て感激し、再演を待ち望んでいた、東京バレエ団の「オネーギン」。今回は、吉岡美佳さんとエヴァン・マッキーの日を選びました。エヴァン・マッキーは、今年の6月のシュツットガルト・バレエ団の「白鳥の湖」で知ったダンサー。シュツットガルト・バレエ団のその公演はいろいろな意味で残念な公演だったのですが(あまり多くは語るまい)、唯一の収穫が、エヴァン・マッキーに出会えたこと。顔だけ見れば、金融関係にお勤めの方?みたいな印象なのですが(笑)、舞台上の姿は本当に美しく、ノーブルで端正で、パートナーへの心配りも完璧な、まさに理想のジークフリードでした。

そのエヴァン・マッキーのオネーギンは、期待以上のすばらしさでした。一幕、ノクターンOp.19-4で踊る最初のソロで、もう涙が……。冷酷さの鎧の中に、とてつもなく大きな空虚を抱えた男。その空虚の中心に、ガラスのようなナイーブな心が隠れている。それが一瞬にしてわかってしまって、もう痛々しくてかわいそうで……。タチヤーナはオネーギンが単に都会的でかっこいいオニイチャンだから好きになったわけではなく、彼の中にどこか自分に似たところを見つけて惹かれたのではないでしょうか? 二幕でオネーギンがタチヤーナの手紙を破っていくシーンでは、タチヤーナよりもむしろオネーギンが哀れで泣けました。……オネーギンという人物にこんなに感情移入できるなんて、本当に意外。一昨年木村和夫さんで観たときは、ひたすら憎たらしくて、最後タチヤーナに拒絶されたのも「自業自得じゃ!」と思ったのに(笑)

一方、オネーギンとタチヤーナのデュエットでは、残念ながら心震えるような瞬間はついに訪れませんでした。吉岡美佳さんは容姿もテクニックも申し分ないタチヤーナで、エヴァン・マッキーと並んで決して見劣りするわけではないのです。なのに、なぜでしょうね。そこに愛がなかった……。斎藤友佳理&木村和夫の、ふたつの魂がひとつの炎となって燃え上がるような、あれほどまでのパートナーシップはまさに奇跡だったのだな~と今さらながらふたり(特に斎藤さん)の凄さを再認識。そして、演じる人の違いでまったく別のドラマを見せてくれる「オネーギン」という演目に、ますます魅せられました。
b0163474_14105919.jpg

[PR]
by AngeBleu | 2012-10-07 14:16 | バレエ

ベルリン国立バレエ団『チャイコフスキー』(1月20日)

b0163474_9133093.jpg
ベルリン国立バレエ団が5年ぶりに来日公演中です。マラーホフ作の『シンデレラ』、エイフマン作の『チャイコフスキー』、そしてガラ公演と、どれも心そそられる演目ばかりでしたが、お財布事情から、マラーホフが主役のチャイコフスキーを演じる『チャイコフスキー』のみの鑑賞となりました。

マラーホフといえば、王子さまだったり、妖精だったり……、浮世の悩み苦しみとは無縁の、ただただ美しく人間離れした存在で、それがゆえに長年ファンをやっているわけですが、今回の『チャイコフスキー』では、王子さまでも妖精でもない、ただの「人間」になりきっていて驚かされました。あのマラーホフが、無精ひげにぎらぎらした目の中年男を、汚辱にまみれた生とみじめな死を演じる日がこようとは……。最初のシーンでの死後硬直を思わせる体や、お金持ちのパトロン夫人がばらまいた札束をかき集めて卑屈に笑う表情など、心底ぞくっとしました。もちろん美しい踊り姿も堪能。特に第2幕後半、裸に黒いジャケットで踊るシーン、マラーホフのこんなキレキレの踊り見たのはじめてかもしれない。このシーンはコールドの男性陣もすごく妖しげでかっこよかったです。

『チャイコフスキー』、まさに「今のマラーホフ」に会うことができる作品でした。マニアックな作品なのに、これを日本公演に持ってきてくれたことに本当に感謝しています。ところで、今年の5月にベルリンで再演される『オネーギン』では、なんとマラーホフが今まで踊っていたレンスキーではなくオネーギンを踊るらしいですね。これを聞いたときは、「全く想像できない~キャラ違うし」と思ったのですが、今回のチャイコフスキーになりきっていたマラーホフを見て、今の彼ならオネーギンもきっといいだろうなあと思うようになりました。ああ、5月、ベルリンに行きたい!
[PR]
by AngeBleu | 2011-01-22 21:19 | バレエ

東京バレエ団『M』(12月18日)

ベジャールが三島由紀夫の作品と人生に想を得て創作した東京バレエ団オリジナル作品『M』が5年ぶりに再演されました。実は私はこの作品を観るのは初めて。ベジャール、ミシマ、どちらも苦手なもので、避けていたんですよね……。しかし、今回は、初演で“IV(シ)”を踊った小林十市さんが7年ぶりに一度限りのダンサー復帰を果たすと聞き、観に行かずにはいられなくなりました。

『くるみ割り人形』での猫のフェリックスの軽々とした跳躍、『バレエ・フォー・ライフ』のギラギラエロスな世界の中で際だつ透明感あふれる踊り。小林さんの舞台を観た経験は数えるほどしかありませんが、その姿は鮮やかに心に焼き付いています。そして、今回の『M』。また新しい小林さんの姿が胸に刻みつけられました。東京バレエ団のプリンシパル揃い踏みの舞台だったのに、気が付けば小林さんしか見ていない……。なんと言えばいいのでしょう? 踊り進むにつれて、年齢も性別も超えた存在になっていくようなのです……。まさに「シ(死)」そのもの。小林さんの復帰がこの舞台(18日と19日のたった2日間)限りなのはとても残念ですが、この役を演じきってダンサー人生を終えることができたのは彼にとって幸せなことではないでしょうか。そしてそれを見ることができた観客にとっても……。

作品のほうは、三島由起夫論というより、三島をとおしてベジャール自身の、美と永遠なるものへの憧れを表現したもの。まったくエロティックでない日本人ダンサーの体が醸し出す静謐な美の世界はベジャール作品の中でも異色で、私には好もしく思われました。

さて、三島由紀夫について。没後40周年と聞いても何の感慨もわかなかった私ですが、『M』を観たらさすがにさまざまに思いをはせずにいられません。女性嫌悪の通奏低音、肉体改造、楯の会……などなど、生理的にイヤだな~と思える部分は多々あるものの、実は憎みきれない人でもあります。春日井建の処女歌集の序文や、紅顔の美少年との切腹ごっこのエピソード、そのほか、多くの愛人たちが暴露したやさしく気弱な面などを知るにつけ、いとおしさが増します。もちろん小説のおもしろさもピカイチ。今、部屋の本棚にたまたまあった短編集、『殉教』を読んでいますが、本当にうっとりするほどの美しさ、巧みさ。まだ読んでいないものを含めて、いろいろな作品を読み返してみたいです。
[PR]
by AngeBleu | 2010-12-20 23:05 | バレエ

マラーホフの贈り物 Aプロ(5月18日)

ここ数年はパスしていた「マラーホフの贈り物」。一昨年の末、ベルリンで心奪われた「カラヴァッジオ」のパ・ド・ドゥが見られるというので、久々に行くことにしました。ボリショイ組が都合で来られなくなったとかで、当初のプログラムから大幅に変更がありましたが、私はどちらにしてもマラーホフとポリーナ・セミオノワ以外知らないし、結果的にマラーホフが出る演目がひとつ増えたので得した気分♪

マラーホフが出演した作品の感想です。

「ダイヤモンド」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:P・ I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ&ウラジーミル・マラーホフ


ポリーナちゃんは25歳にしてすでに女王の風格。ただ、ロパートキナさんの圧倒的なダイヤモンドを観ているので、そこまでの感動はなかったかな。

「仮面舞踏会」より“四季”
振付:ウラジーミル・マラーホフ/音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ
ポリーナ・セミオノワ&ウラジーミル・マラーホフ
吉岡美佳、上野水香、田中結子、松下裕次、柄本武尊
東京バレエ団


ここでもポリーナちゃんの貫禄が光っていました。東京バレエ団の上野さん、吉岡さん、田中さんのほか、若手男性ソリストたちが一度に観られたのも楽しかった。特に吉岡さんの、春風のように軽く浮遊する踊りが素敵でした。けれど、振付はほんとにクラシックで目を瞠るところがなく、作品としては退屈……ですね。

「カラヴァッジオ」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:マウロ・ビゴンゼッティ/音楽:ブルーノ・モレッティ
ウラジーミル・マラーホフ&レオナルド・ヤコヴィーナ


当初はポリーナちゃんとのパ・ド・ドゥの予定だったのが、男性ふたりのパ・ド・ドゥに変更。この変更はうれしい!! 闇の中にくっきりと陰影を刻むふたりの肉体が、複雑に、ねっとりと絡み合います。あまりにもエロティックで、目のやり場に困る……とはいえ、10倍の双眼鏡で凝視しましたけどね(笑)。もう一度全幕で観たいです~(DVD買いそびれています)。

「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア/音楽:シャルル・カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ


マラーホフのソロ作品として、当初は「ヴォヤージュ」が予定されていましたが、本人の強い希望で、新作の「瀕死の白鳥」に変更されました。もしかしてチュチュ+トウシューズで踊るのか……と一瞬思いましたが、当然そんなことはなく、パンツ一丁のいつものマラーホフスタイル。無駄な動きをそぎ落としたシンプルな振付で、プリセツカヤの白鳥というより、ギリヤーク尼ヶ崎の「白鳥の湖」(「白鳥の湖」と称しているが、曲はサン・サーンス)を思い出してしまった(笑)。死を美化しない、生々しく、悲哀感が漂う白鳥でした。

この日一番感動したのは、実は上記のどれでもなく……フィナーレで見せてくれた、舞台を3歩で横切るグラン・フェッテでした。速い、高い、美しい! そうそう、マラーホフの魅力はこの誰よりも美しい跳躍だった!ということを思い出しました。これを見られただけで、今日は満足です。

もうひとつの収穫は、第3部で「椿姫」“第3幕のパ・ド・ドゥ”を踊ったマリア・アイシュヴァルトマライン・ラドメイカー(シュトゥットガルト・バレエ団)。第1部の「ボリショイに捧ぐ」から、美青年だなあと思っていたラドメイカーさん、容姿からして「椿姫」のアルマンが似合う、似合う。未熟で心の弱い青年の、これ以上傷つきたくない、でも愛さずにいられない!!という狂おしさが痛いほど胸に迫ってきました。アイシュヴァルトさんの影のあるはかなげなたたずまいも、マルグリットそのもの。難度の高いリフトの連続も全然危なっかしげな様子がなく、お見事でした。この日一番大きな拍手をもらっていたのはこのふたり。このカップルで『椿姫』全幕観てみたいです。
[PR]
by AngeBleu | 2010-05-19 19:45 | バレエ

東京バレエ団『オネーギン』(5月15日)

ジョン・クランコ振付『オネーギン』の東京バレエ団による日本初演(2日目)を観てきました。

オネーギン:木村和夫
タチヤーナ:斎藤友佳理
オリガ:高村順子
レンスキー:井上良太
グレーミン公爵:平野玲


いやー、よかったです。本家のシュトゥットガルト・バレエを観ている人は、日本人のオネーギンなんて……と思うかもしれませんが、私はこの作品を観るのは今回がはじめてなので、東京バレエ団のために作られたといわれても信じてしまいそう。そのくらい、踊り、衣装、舞台美術、すべてがぴったりとはまっていました。

なかでもすばらしかったのが、タチヤーナの斎藤友佳理さん。最初の場面から、田舎っぽくて地味だけれど内面から美しさがにじみ出ている少女……という雰囲気がよくでていて引き込まれました。オネーギンと出会ったときの心のさざめき、初恋の高ぶり。少女の繊細な心の動きが驚くほど伝わってきます。オネーギンの木村和夫さんも素敵でした。木村さんといえば、『ジゼル』のヒラリオンのイメージ(決して悪い奴ではないが粗野でKYな田舎者)だったのですが(それはそれで好き)、実は都会的でスマートな役が似合うとても美しいダンサーなのですね。

印象的な場面はいくつもありますが、なんといっても圧巻は3幕のパ・ド・ドゥ。踊り、演技……を通り越して、二人の心が火花を散らしてぶつかり合うさまを見ているようで、震えがくるほど。ラスト、ひとり立ち尽くし身もだえするタチヤーナの姿には、涙を流さずにはいられませんでした。カーテンコールで、斎藤さんと木村さんが互いに寄りかかるように立つ姿にも涙、涙。この世で結ばれることのなかったタチヤーナとオネーギンがあの世で結ばれる……という幻影のようにも見えました。

東京バレエ団は本当にいい作品をレパートリーに加えることができましたね。これからも何度も観たいし、ほかのキャストでもぜひ観てみたいです。
[PR]
by AngeBleu | 2010-05-16 16:47 | バレエ

2月18日(金)NHK芸術劇場『バレエ・リュス・プログラム』

NHKの「芸術劇場」(2月18日、22:30〜)で、2009年12月にパリのガルニエ宮で行われたパリ・オペラ座バレエ団『バレエ・リュス・プログラム』が放送されます。演目は「薔薇の精」(マチアス・エイマン、イザベル・シアラヴォラ)、「牧神の午後」(ニコラ・ル・リッシュ、エミリー・コゼット)、「三角帽子」(ジョゼ・マルティネズ、マリ・アニエス・ジロ)、「ペトルーシュカ」(バンジャマン・ペッシュ、クレールマリ・オスタ)。個人的には、ニコラ・ル・リッシュの「牧神」がすっごく楽しみです。

2009年は、バレエ・リュスが設立されてから100年目の記念の年だったそうです。そういえば去年の12月、ニース・コート・ダジュール空港を使ったとき、空港内のポスターや展示物がすべて「バレエ・リュス100年祭」のものでした。「バレエ・リュス」は一時、コート・ダジュールのモナコ(モンテカルロ)に本拠地を置いていたことがあるのです。「薔薇の精」は、モンテ・カルロのオペラ劇場で初演されました。私はよく夢想するのですが、もし一度だけタイムマシンに乗れるなら、迷うことなく1911年のモナコに行くでしょう。そして、ニジンスキーの薔薇の精、その伝説の跳躍を見るのです・・・・・・
b0163474_17283125.jpg
ニース空港にて。ニジンスキーの「薔薇の精」


b0163474_17293880.jpg
ペトルーシュカになって記念撮影?(^_^;)


バレエ・リュスとは(NHK『芸術劇場』の解説より)
1909年、フランス・パリでバレエ界に革新を起こした「ロシア・バレエ団」、フランス語で「バレエ・リュス」。ロシア人興行師ディアギレフが、ニジンスキーを含めたロシア帝室バレエ団のダンサーたちを率い、ストラヴィンスキーの音楽、画家バクストの舞台装置など最先端のロシア芸術を結集した伝説のバレエ団である。ピカソやジャン・コクトーなど、パリで活躍していた時代の寵児たちも大きく関わり、バレエ史上に残る数々の傑作を生みだした。

[PR]
by AngeBleu | 2010-02-18 17:32 | バレエ

ロパートキナ『白鳥の湖』

b0163474_199449.jpg
11月27日のマリインスキー・バレエ『白鳥の湖』を観てきました。あこがれのロパートキナの白鳥。言葉では言い尽くせない至高の美の世界を観た気がします。月明かりの下、静かに舞台にあらわれたオデットを見た瞬間から、涙があふれてきました。すべてが物語の自然な流れの中にあり、演技など何もしていないように見えるのに、オデットの微妙な心の動きが手に取るように伝わってくる不思議。王子のダニーラ・コルスンツェフも素敵でした。控えめでありながら、限りないやさしさと包容力でオデットを包み込む王子。オデットの氷のような心が溶かされ、ふたりの心が少しずつ通いあっていくパ・ド・ドゥは、ただ美しいだけでなく、何か時を超えた永遠なるものを見るようでした。

そして、第2幕の黒鳥。テクニック面でいえば、この日のロパートキナは決して万全とはいえなかったかもしれません。もっと迫力ある黒鳥を踊る人はいくらでもいるでしょう。でも、彼女の黒鳥はやはり非常に自然で、この物語に初めて納得できました。私はかねがね不思議に思っていました。いくら顔が似ているからといって、王子が間違えて黒鳥に愛を誓ってしまうなんておかしいんじゃないかと。どんなに美しく妖艶でも、心に少しでも下劣なところがあれば、王子が惑わされることはないはず。ロパートキナの黒鳥は、もちろん悪なんだけど下劣さのかけらもなく、悪の中にも品位というか気高さがありました。この黒鳥なら、王子がだまされるのも無理はないと思わされたのです。

11月1日の朝日新聞に掲載されたロパートキナのインタビューを、ネットでも読むことができます。
http://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY200910300315.html

「動きの一つひとつを観客に分析させるようではダンサーとして失格。踊りの流れがシンプルに見えて、心に直接訴えかけるようにすることが、バレエの技術ではないかしら」
「マリインスキーはエレガンスに尽きる。心の中は炎のように燃えても、抑え気味の形を貫く。叫びでなく目線で勝負する。」

ああ、まさにその通りのものを見せていただきました、という感じです。「踊りの流れがシンプルに見えて、心に直接訴えかける」。言うのは簡単でも、それを実現できるダンサーはなかなかいないと思います。でも幸運にしてそんな舞台を観たとき、私たちはこの世に奇跡があることに驚き、生きていることに感謝しないではいられなくなります。ロパートキナの白鳥を生で観ることができたのは本当に幸せなことでした。
[PR]
by AngeBleu | 2009-11-29 19:11 | バレエ

孤高の宝石、ウリヤーナ・ロパートキナ

b0163474_20421397.jpg
11月23日の『ブル8』で、今年のクラシック演奏会は終わりと書いたのですが、オーケストラではなくバレエ公演でもうひとつビッグイベントが残っています。明日27日の、マリインスキー・バレエ『白鳥の湖』です。オデット/オディールは、ウリヤーナ・ロパートキナ。ずっと憧れていたのですが、なぜか縁がなく、今まで彼女の白鳥を観ることができないでいました。

3年前の「ロパートキナ・ガラ」を観て以来、崇高とでもいいたくなるようなロパートキナの姿が今も心に焼き付いています。(この年も『白鳥』のチケットを取っていたのですが、急な出張で泣く泣く手放したのです)・・・・・・ガラの演目は、たしか『パキータ』『ライモンダ』『ダイヤモンド』でした。最後の『ダイヤモンド』がすごかった。『ダイヤモンド』は、バランシンの『ジュエルズ』の第3部で、バレエコンサートでよく上演される作品ですが、一度もおもしろいと思ったことがありませんでした。ガルニエ宮でパリ・オペラ座バレエの『ジュエルズ』全幕を観たときも、たしかにとてもきれいだけど(特に衣装はクリスチャン・ラクロワだし・・・・・・)、たいしておもしろくないなあ(これで50ユーロって高いわあ)なんて思っていました。

しかし、ロパートキナの『ダイヤモンド』は、今まで観たダイヤモンドとは違いました。同じ音楽、同じ振付・・・・・・なのにまったく違う。なんなんでしょう、これは!? 今までは模造ダイヤしか見てなかったんだと思いました(パリ・オペラ座の皆さん、ごめんなさい。ロパートキナが素晴らしすぎたのです)。ロパートキナは、単に華やかでキラキラと輝いているだけではなく、宝石の女王としての気品をもち、一目見るだけでこちらの心まで研ぎ澄まされるような、本物のダイヤモンドでした。「呪いのダイヤ」というものがあるそうですが、王家から王家へ受け継がれてきた伝説の石ってこんな感じなのかも? そんな孤高の宝石、ロパートキナにいよいよ明日会えると思うと、今から震えるほど楽しみなのです。

ジャパン・アーツのサイト内のマリインスキー・バレエの特集ページはこちら
[PR]
by AngeBleu | 2009-11-26 20:51 | バレエ

最新のトラックバック

コンクリートになったオス..
from ベルリン中央駅
オランジュのシャンブル・..
from Trans Europe E..
『素顔のベルリン』が完成..
from ベルリン中央駅
マラーホフの『カラヴァッ..
from Trans Europe E..

検索

ブログパーツ

汗と脂肪の関係

ファン

ブログジャンル

画像一覧