Trans Europe Express


フランス、ドイツなどヨーロッパの旅の話題を中心に、映画、音楽、ダンス、アート鑑賞記録も。
by AngeBleu
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映画『子供の情景』

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映画『子供の情景』を観た。監督は、ハナ・ムフマルバフ。名前からわかるとおり、この人はあの『カンダハール』のムフマルバフ監督の娘さんだ。撮影当時は、まだ19歳だったという。
 
舞台は、タリバンによって破壊された仏像の瓦礫が残るバーミヤン。少女バクタイが、隣家の少年が読み上げる教科書の話にひかれ、自分も学校に行きたいと考える。学校に行くにはノートが必要だと知ったバクタイは、ノートを買うためのお金を得るため、家のニワトリが産んだ卵を持って市場に行く。苦労の末やっと手に入ったノートを持って、意気揚揚と学校に向かうバクタイ。そんな彼女の前に、「タリバンごっこ」をする少年グループが現れ・・・
 
若い女性監督が撮った映画であること、『子供の情景』というタイトル、そしてポスターの子供の顔のあまりのかわいらしさから、観る前は、同じイラン映画の『友だちのうちはどこ?』のような、“ほのぼの子供映画”だと思っていた。実際、前半までは、無邪気な少女の奮闘する姿がただただかわいらしく微笑ましいばかり。しかし、少女が悪童たちに囲まれてしまったときから、雲行きが変わる。アフガニスタンの子供たちが巻き込まれている過酷な状況を思い知らされ、観終わったあとかなり落ち込んでしまった。映画の原題は『Buddha Collapsed out of Shame』。お父さんのムフマルバフの有名なエッセイ「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない。恥辱のために崩れ落ちたのだ」から来ている。ほのぼのした話で終わるはずはなかったのだ。
 
「女は学校に行くな」「口紅を持っている女は石打ちの刑だ」。幼い少年たちが口にする言葉は、いちいち恐ろしい。石を手にして少女を囲む少年たちは、本気で少女を殺しかねない目をしている。これは「戦争ごっこ」ではなく 「戦争」そのものではないのか。
 
「戦争ごっこなんか嫌い」と言いつづけたバクタイが、暴力から逃れるために自ら倒れるラストは衝撃的だ。
自らを恥じて崩れ落ちなければならないのは、私たち大人だというのに。
 
『子供の情景』公式ページはこちら

東京では岩波ホールで6月中旬まで上映中。
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by AngeBleu | 2009-04-27 18:40 | 映画

インマヌエル教会通りの画家のアトリエ

ベルリン中央駅さんのエントリー家具屋という名のカフェ、石鹸屋という名の服屋を見て、あるアパートのことを思い出し、2年前の写真を引っ張り出してきました。
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これは、2006年12月に、初めてベルリンを訪れたときの写真です。
いかにも“東”という感じのみすぼらしいアパート。東西統一からずいぶん経ったのに、いまだにこんな建物が残っていることに驚きました。しかも、ここはプレンツラウアーベルクのインマヌエル教会通り(Immanuelkirchstr.)。おしゃれなカフェやギャラリーが並ぶ、トレンディーエリアのど真ん中なのに・・・・・・です。当時この建物内に、相棒Tのお父さんである画家M氏の住居兼仕事場がありました。

中はどんな感じなんだろう・・・・・とこわごわ入らせていただきました。昔の東ベルリンには水道もガスもないアパートもあったと聞きますが、ここはシャワーからちゃんとお湯が出るし、セントラルヒーティングもあり、外観のわびしささえ我慢すれば、何不自由なく暮らせるようになっています。
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外観がきれいに塗り替えられてしまったら、きっと家賃も高くなってしまうでしょうから、こうしたボロアパートが残っているのは、貧しい芸術家にはありがたいことなのかもしれません。

2年後の2008年12月に再訪したときも、このアパートはまだこのままでした。このようなボロボロの外観の建物は今では珍しい存在になったらしく、ときどき写真家が撮りにきたりもするそうです。
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by AngeBleu | 2009-04-24 21:28 | ベルリン点景

フランスで見つけた春

4月初旬の1週間とちょっとフランスに出かけたので、今年は日本の桜を見逃してしまいました。
とはいえ、フランスもちょうど花の季節。
私が着いた日から、急にあたたかくなったらしく、あちらこちらで花がいっせいに咲き始めていました。
ほとんど観光らしきものをしなかった今回の旅ですが、さわやかな青空の下で咲く花々を見ているだけで幸せな気分になれました。

旅行中に、民家の庭先や公園で目にした花々です。
花の名前に疎いので、正確な名称などはわかりませんが・・・

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濃いピンクの桜。ちょうど満開で、花の重さで枝がたわみそうなくらいでした。

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黄色いスイセン。まわりの新緑もまぶしいほど鮮やか。

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枯葉の下から無数の小さな花々が顔を出して・・・
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by AngeBleu | 2009-04-22 00:10 | フランスところどころ

東京バレエ団・ノイマイヤー振付『月に寄せる七つの俳句』(4月18日)

パリから日本の自宅に帰ってきたら、「東京バレエ団通信」が届いていた。一応クラブ・アッサンブレ(東京バレエ団のファンクラブ)の会員だが、ゲストダンサーが出る公演の優先予約目的で入っているようなもので、普段はお知らせなどほとんど読むことがない。しかし、今回は「ノイマイヤー振付『月に寄せる七つの俳句』が18年ぶりに復活」という見出しに、思わず注目してしまった。パリでノイマイヤー振付の作品を観たばかりだからだ。

この間の『第3交響曲』は、音楽をダンスで表現した作品。数年前にパリ・オペで観た『椿姫』は、人間の心情をダンスで表現した作品だった。そして、『月に寄せる・・・』は、俳句をダンスにした作品だというから、俄然興味をそそられた。添えられている写真もとても美しい。しかも今回の再演には、初演時に出演したベテランダンサー3人(斎藤友佳理さん、高岸直樹さん、木村和夫さん)が再び主演するという。

観に行って本当によかった。なんという、美しい作品。特に、後半、一茶の句「小言いふ相手もあらば今日の月」での、「月」(木村さん)と「月を見る人」(高岸さん)のパ・ド・ドゥ、それに、亡き妻の面影(斎藤さん)が加わってからは、ラストまで涙が流れっぱなしだった。なぜこんなに泣いたのかわからない。何かこの世ならぬものを観た気がした。

先に「俳句をダンスにした作品」と書いたが、それは不正確な言い方だ。ノイマイヤーは、俳句から出発して、元の俳句からも独立した「この世にはない別の世界」を創り出したのだった。俳句の十七文字の外側に無限の世界があるように、ノイマイヤーの振付は、人間の体の外側にある、目に見えない無限の世界を描きだしていた。これは、3人のベテランダンサーの力によるところが大きいと思う。斎藤さんは、ジゼル2幕のようなこの世のものでない存在を演じると本当にはまる。いつもは豪快で元気いっぱいのイメージがある高岸さんも、驚くほどしっとりとした詩情をかもしだしていた。

今までノイマイヤーにそれほど興味はなかったのだが、本家ハンブルクバレエもいつか観てみたい(今年の2月に来日公演があったばかりなのだが・・・)。

今回の公演は、「東京バレエ団創立45周年記念スペシャル・プロ」で、他に「エチュード」「タムタム」が上演された。「エチュード」は、ダンサーのテクニック合戦みたいな作品で、あまり好みではない。「月に・・・」のあとに「タムタム」が上演されたのだが、しんみりと余韻にひたっているところに、いきなり激しいアフリカのリズム(笑) あまりにもテンポが速くて、転倒するダンサーもいるほど。まあ、楽しい作品ではあった。
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by AngeBleu | 2009-04-19 22:30 | バレエ

プロヴァンで見つけたかわいい店 sanpo

プロヴァンは世界中から観光客が集まる町ですが、この手の町にありがちな、おみやげ屋さんがぎっしりという感じがありません。素敵なおみやげを売る店は、中世の街並みに溶け込むようにしてひっそりと建っています。

「A la croisee des chemins」
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店名は「文明の十字路」とでもいう意味でしょうか。薔薇のコスメ、手工芸品など、中世の市場町だった頃のプロヴァンを思い出させるグッズが集められています。特に目を引いたのは、さまざまな種類の香辛料やハーブ。食欲をそそるいい匂いが漂っていました。お店独自のブレンドもあり、これを使えばどんな料理下手な人でも、香りだけは抜群!のエスニック料理が作れそうです。友人によれば「パリで買うより安い」とのこと。
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「La Ronde des Abeilles」
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「蜜蜂のロンド」という名の、薔薇のハチミツ専門店。ハチミツだけでなく、薔薇のジャムやリキュール、お菓子、オイル、石けんなど、薔薇を使ったさまざまな製品が所狭しと並んでいます。プロヴァンの薔薇は、13世紀にシャンパーニュ伯が十字軍遠征から持ち帰ったといわれ、プロヴァンのシンボルになっています。ここの店主であるカルラさんは、自前の薔薇園を所有し、栽培から製品作りまですべてひとりでやっているそうです。ハチミツ、ジャムは試食もさせてくれます。自然な甘味と香りでとてもおいしい! 

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薔薇のハチミツとジャムをひと瓶ずつ買いました。瓶の大きさが持ち帰りに手頃なサイズでいいなと思ったら「日本人用に小さな瓶を作った」とのこと。数年前にNHKの世界遺産の番組でこの店が紹介されて以来、日本人客が多数訪れるようになったそうです。
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by AngeBleu | 2009-04-17 20:21 | フランスところどころ

中世が残る町、プロヴァン sanpo

パリ出張中の、1日だけのオフの日。パリ在住の友人とパリ郊外のプロヴァンProvinsという町に出かけました。春らしいぽかぽか陽気なので、パリにいるよりは田舎に出かけたほうが楽しそうだね、という話になったのです。
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プロヴァンへはパリ東駅から電車で1時間半。周りは麦畑ばかりの、のどかな田舎町です。現在の姿からは想像できませんが、12〜13世紀の頃は、シャンパーニュ伯爵領の首都として、フランス王もうらやむほどに栄えていたそうです。東西交易の中心地にあり、年に2度開かれる「シャンパーニュの大市」といえば、当時ヨーロッパで知らない人はいなかったとか。14世紀、ペストの流行や交易ルートの変更などにより、町は衰退します。その後、この町がふたたび歴史の表舞台に出ることはありませんでした。しかし、それが幸いして、プロヴァンの町は貴重な中世の街並みを今に残すことになったのです。2001年には、城壁に囲まれた町全体が世界遺産に登録されました。
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初めての町に来たら、まずは一番高い所に登るのがお約束。プロヴァンの町の中心には、12世紀にシャンパーニュ伯によって築かれた見張り台である「セザール塔」がそびえています。この塔から見下ろせば、プロヴァンがどれほど小さな町かわかります。

春のやわらかな日差しの下で、古い家々は、中世の眠りから今しがた目覚めたばかりというような風情です。連なる屋根のすぐ向こうには、シャンパーニュの大平原が広がっています。
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この町が世界遺産になったのは、住民の情熱によるところが大きいのではないでしょうか。ただ古い街並みが残っているだけではなく、その街並みを活かして、訪れる人が中世を実体験できるような工夫がなされているのです。たとえば、4月から10月の旅行シーズンには毎日、野外劇場で「鷹匠のショー」や「中世時代劇」など、さまざまなスペクタクルが行われています。
私たちが観に行った「騎士伝説」という騎馬スペクタクルは、まだシーズンが始まったばかりだというのに、親子連れで満席。シャンパーニュ伯チボー4世の戦い……といわれても、歴史にうとい私には、なんのことやらさっぱり……。でも、迫力ある戦闘シーンなど見応えありました。フランス人の観客は大興奮でした。
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毎年6月第2週末には、町をあげてのお祭り「中世祭」が開かれます。町中の人が、中世の商人や吟遊詩人、貴婦人に騎士たちなど、「シャンパーニュの大市」でにぎわった頃の人物に扮して練り歩くそうです。これもとても楽しそうですね。
2009年の中世祭のプログラムはこちら
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by AngeBleu | 2009-04-16 16:51 | フランスところどころ

パリ・リヨン駅の「Big Ben Bar」 sanpo

仕事先にリヨン駅から列車で向かうことになり、ちょうどいいチャンスとばかり、前から行きたかったリヨン駅構内のバーで朝食を取ることにしました。

映画『ニキータ』の撮影にも使われた有名なレストラン「ル・トラン・ブルーLe Train Bleu」。1900年創業、金箔の壁とフレスコ画に囲まれ、シャンデリアが光り輝く、たいそう豪華なレストランですが、お値段のほうも非常に豪華。列車を待つ間の45分間で供されるスピード・メニュー「Menu TGV」が、52ユーロですからね。歴史的建築物の鑑賞代も含まれているのでしょう。

最近友人に教えてもらって、このレストランに併設するバーなら、もっとお手軽な料金で利用できることを知りました。しかも食事時間内だけでなく、朝食や午後のお茶だけでもOKというのです。
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入口は「ル・トラン・ブルー」と同じ。入って右側がレストランで、左に行くと「ビッグ・ベン・バー」です。
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このとおり、天井が高く、古きよき時代の重厚な雰囲気たっぷり。8時前に行ったら、まだひとりもお客が入っていませんでした。外の喧噪が嘘のように静かで落ち着いた時間が流れています。
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カフェオレとタルティーヌ(バターを塗ったパン)で、11ユーロでした。ちなみに、ちゃんとした朝食セット(クロワッサン+タルティーヌ+カフェオレ+オレンジジュース)は16ユーロ。ティータイムセット(ケーキ+飲み物)は15ユーロ。食事のメニューは、クラブサンドイッチ18ユーロから。雰囲気を考えれば、決して高くないと思います。
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帰りにちらりとレストランのほうを見学。すみずみまで凝った装飾が施され、見応えあります。
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リヨン駅は、プロヴァンスやコート・ダジュールなど南仏に向かうTGVが出る駅です。過去、何度もここから南仏行きの列車に乗ったことがあるので、この駅に立つだけで、今から南仏に行くような錯覚に陥ります。今度この駅から南仏へ行くことがあれば、「ビッグ・ベン・バー」で軽く食事をしてから旅立つのもいいなと思いました。
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by AngeBleu | 2009-04-12 23:22 | パリ

夜のルーヴル美術館 sanpo

ルーヴル美術館の開館時間は9時から18時ですが、水曜と金曜は閉館時刻が22時まで延長されます。昼間は観光客であふれかえるルーヴルも、夜ならすいていてゆっくり見られるという噂。しかも、18時以降なら、入場料が通常9ユーロのところ6ユーロで入れるのです。ちょうど金曜の夜、時間ができたので行ってみることにしました。
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18時まで少し時間があったので、ルーヴル宮の一角にある「カフェ・マルリー」でアペリティフタイム。このカフェはちょっと高めだけど、内装がゴージャスなうえ、ルーヴルの中庭が一望できるテラス席もあり、とても雰囲気がいいのです。夕暮れの心地よい空気の中、ガラスのピラミッドを眺めながら、のんびりワインを飲むなんて最高の気分。

もう1杯飲みたいところだったけれど、18時を少し回ったので、そろそろ美術館に入ります。
ルーヴルの中に足を踏み入れるのは、何年ぶりでしょう。ここ10年は行った記憶がありません。もしかしたら15年ぶりくらいなのかも。久しぶりに再開できる絵の数々を想像して、胸の鼓動が高まります。まずは、3階、フランス絵画の部門に直行しました。目指すは、15世紀プロヴァンス派(『ヴィルヌーヴ・レザヴィニョンのピエタ』など)と、16世紀フォンテーヌブロー派(『狩りをするディアナ』『ガブリエル・デストレ姉妹』などなど)。作者不詳のこれらの絵画が、いつまでも変わらず輝きを放ち、生き続けているのは本当にすごいことですね。絵の前で立ち止まる人もほとんどいないので、ひとりでゆっくり堪能できました。
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フランス中世絵画の傑作『ヴィルヌーヴ・レザヴィニョンのピエタ』

次は、2階のイタリア絵画部門に向かいます。3階はガラガラだったのに、2階に降りると人がうじゃうじゃいて、なんだか嫌な予感。レオナルドやラファエロのあるグランド・ギャルリーは、もうバーゲン初日のデパートのようです。夜ならすいているなんて考え、甘かった……。金曜日の夜は、26歳未満なら無料になるので、がきんちょがいっぱい!! 中高生の団体が走り回り、あちこちで奇声発しているし。大人もフラッシュ写真撮りまくりだし。美術館の係員も注意することをあきらめているようで、無法状態です。
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どこぞの大スターが来たのか?と思うような光景ですが、囲まれて写真を撮られまくっているのは、あの『モナ・リザ』。絵を観ることより、写真を撮るのが目的になっているみたいです。落ち着いて美術鑑賞をする環境ではなくなっているのがとても残念です。カメラ持ち込み禁止か、ドレスデンの美術館のように写真撮影は有料にするとかできないものでしょうか。

人混みから逃げるように、ふたたび3階に戻りました。3階はやっぱり静かでいいです。どこからか聞こえてくる雅な調べに導かれていくと、「ルーベンスの間」で古楽のミニコンサートが開かれていました。若い音楽家に発表の場を提供するという試みだとのこと。絵画に囲まれて美しい音楽を聴いていると、2階の喧噪で少し苛立った心が癒されていくようでした。
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時計を見るとそろそろ21時。窓から中庭を見下ろすと、ガラスのピラミッドがちょうどライトアップされ始めたところでした。
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by AngeBleu | 2009-04-10 20:05 | パリ

パリ・オペラ座バレエ『マーラー交響曲第3番』

今シーズンからパリ・オペラ座バレエのレパートリー入りをした、ノイマイヤー振付の『マーラー交響曲第3番』を観てきました。
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20時開演と思い込んでいた私。19時半にのーんびりオペラ・バスティーユに着くと、ホワイエにまったく人がいない……。あれ? 今夜じゃなかったっけ?などと思っていると、もぎりのおにいさんが、「デペシェ・ヴー!(急いで)」と言ってます。うわー、19時半開演だったんですかー。エレベーターに飛び乗って3階まで行き、14番扉の中にすべり込んだときはちょうど照明が落ちたところ。まっ暗ななか、手探りでなんとか自分の席を探し当て、座ったと同時に幕が上がりました。プログラムを読んでストーリーを把握しておきたかったのに……いきなり始まってしまった……。

この作品は、マーラーのこのうえなく美しい音楽をそのまま踊りで表現した、完全な抽象バレエ。だから事前の知識がなくても、それほど問題はありませんでした。ただ、キャストが最後までわからなかったのはちょっと困りました。(これも私の勝手な思い込みで)出るはずと思っていたニコラ・ル・リッシュが、いつまでたっても出てこないのでやきもきしたのです。あとでキャスト表を見てやっと、今日の主役はカール・パケットだと知りました。端正で美しい踊りをする人ですが、ニコラの野性味に悩殺される気満々だった私には、ちょっと物足りなかったかな。
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バスティーユでバレエを観るのは初めてだったのですが、安い席でも見やすくて感激しました。ネットで予約するときに、80ユーロだと最前列正面、55ユーロだと3階バルコニーやや上手寄りを提案され、後者を選んだのですが、それで正解でした。舞台にはかなりの奥行きがあり、主役だけを見るというより(ニコラじゃなかったし……)、群舞のさまざまなフォーメーションや動きを楽しむ作品だからです。
バレエにしては大編成のオケが、オーケストラピットにぎっしり詰まっているのが見えたのもおもしろかった。2時間休憩なしでダンサーにとってつらい作品ですが、オケもこんなに狭いところでマーラーの大曲、大変だったでしょうね。ダンサーはもちろん、オーケストラにも盛大な拍手が送られていました。
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終演後の舞台装置もばっちり。バスティーユ広場にかかる月。
(4月10日写真アップ)

パリ(2):オペラ座バスチーユ「ノイマイヤー:マーラー交響曲3番」
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by AngeBleu | 2009-04-09 19:33 | バレエ

エッシェンバッハ・パリ管のマーラーとブルックナー

再びパリのネットカフェからの投稿です。
出張なので昼間の観光はできないけれど、夜はめいっぱい遊んでいます。
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4月2日、サル・プレイエルでのパリ管演奏会に行きました。指揮はエッシェンバッハ。マーラーの『亡き子をしのぶ歌』(ソリストはナタリー・シュツットマン)とブルックナーの9番という、ものすごく贅沢なプログラムです。

エッシェンバッハ指揮のパリ管は、一昨年の来日公演を聴いて大ファンになりました。パリ管のメンバーは、見た目はあまり芸術家のオーラがない普通のおにいちゃん、おねえちゃんばかりなのに(失礼)、演奏ではすごい集中力、瞬発力を発揮し、驚くほど迫力ある演奏をするのです。聞くところによると、気に入らない指揮者だとなめきってだらだらの演奏をすることもあるらしいですが(いかにもフランスらしい?)、エッシェンバッハはたいへん尊敬されているのでしょうね。

この夜の演奏会も、夢のようにすばらしいものでした。特にブルックナー。暗く、耽美的で、退廃的で、今まで聴いたことのないようなブルックナーでした。野蛮で狂気じみた第2楽章、どこまでも暗く、でも最後には天に昇っていく第3楽章。最後の音が消えたあと、エッシェンバッハは、30秒ほど指揮棒を下ろさず、客席もしんと静まりかえって、心ゆくまで余韻を味わうことができました。

残念ながら、エッシェンバッハは2009-2010年シーズンをもってパリ管の芸術監督を退任します。来シーズンのプログラムを見ると、退任前の2010年2月には、エッシェンバッハの60歳の誕生日特別コンサートがあり、モーツァルトの弾き振りや、クレーメル、ヨー・ヨー・マとの室内楽など、豪華プログラムが組まれています。エッシェンバッハのピアノも、やはり異常な耽美さがあって大好きなので、聴いてみたいなあ……。
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サル・プレイエルの帰りに。ライトアップされた凱旋門とエッフェル塔。夜のパリはやっぱり美しい。
(4月10日写真アップ)
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by AngeBleu | 2009-04-08 17:19 | 音楽

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