Trans Europe Express


フランス、ドイツなどヨーロッパの旅の話題を中心に、映画、音楽、ダンス、アート鑑賞記録も。
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『砂と兵隊』@こまばアゴラ劇場(9月25日)

こまばアゴラ劇場で上演中の青年団公演『砂と兵隊』(作・演出:平田オリザ)を観てきました。昨年の春、パリでこの作品のフランス語版を観ていたので、今回の一番の関心は、フランス語版とオリジナル版でどう違って見えるのかということでした。

2009年春の『Sables et Soldats』の鑑賞記録はこちら

結論からいえば、フランス語版は、細かい設定や台詞などは変えられていたものの、作品の世界観に忠実なすばらしい翻訳と演出だったことがわかりました。
違いがあったのは、舞台ではなく、観客の反応のほうです。
この芝居、登場人物が終わることのない行軍を続ける中、終演を告げる字幕(「もう終わったので帰ってね」)が出て、観客は拍手することもなく席を立って、もやもやした気分のまま帰らざるをえないことになっています。(ですよね?)
しかしパリ公演時は、ほぼすべての観客がカーテンコール(スッキリする終わり方)を期待して、終演後いつまでも盛大な拍手を送り続けていたのです。私はその拍手を背中で聞きながらそそくさとホールをあとにしたのでした。パリ公演の観客は当然ながらほとんどがフランス人。彼らにとっては、フランス人によるフランス語の芝居であっても、現実にはありえない話……つまり、あくまでもよくできたコミカルな不条理劇にすぎないのです。日本人の私にとっては、笑うに笑えない「日本でならいかにもありそうな」会話の連続だったというのに……。
登場人物が日本人という設定のオリジナル版では、その居心地の悪さが当然ながらもっと強まります。「もうすぐ日本は滅びます」とはっきりいわれているようなものですからね。そんなこといわれて拍手する日本人はいないでしょう。
フランス人は、良くも悪くもまだまだ自分に自信があり、また、自分たちの社会(フランス社会)を信頼しているのだろうな……などと、日仏の観客の反応の違いから、いろいろと考えてしまいました。

オリジナル版の俳優は、ベテランを中心にさすがの安定感。女性兵士役のひらたよーこさんの目の光と、妻を探す夫役の志賀廣太郎さんのうらぶれた男ぶりに惚れぼれ。ふたりとも声がすごくよくて、ひりひり焼けた心にしみとおるような潤いがありました。

『砂と兵隊』の東京での公演は、10月6日まで。5、6日には、フランス語版(日本語字幕付き)の上演もあります。フランス語版をもう一度観てみたい気もします……。前売りは6日が完売で、5日が売り切れ間近のようです。詳しくは青年団HPで。
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by AngeBleu | 2010-09-26 19:12 | 演劇

田中悦子展@ギャラリーヤスタケ(八王子)

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ベルリン在住の画家、田中悦子さんの油絵展を見に、八王子のギャラリーヤスタケに行ってきました。ちょうど去年の今頃も日本で展覧会があったのですが、1年経って、また少し色調や雰囲気が変わり、とても新鮮な印象でした。今回は、夕暮れ時の空気を思わせるピンク、オレンジ、日没直後の明るさと暗さが入り交じったブルーグレーの深い色あいが特に心に残りました。見ているとこちらの心までとぎすまされてくるようです。
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残念ながら、田中悦子さんの個展は9月21日で終わりですが、10月7日からは、同じギャラリーヤスタケで、注目の展覧会があります。ベルリンのアーティスト、パウル・グロスの写真展。本人が展覧会に合わせて初来日します。
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彼の写真も展覧会ごとに作風ががらりと変わるので、次はどんな作品が見られるか楽しみです。ギャラリーヤスタケは八王子駅から徒歩30分ほどと、東京都心から行くにはちょっと遠いですが、とてもセンスのいいギャラリーです。1階はアンティーク家具に囲まれたおしゃれなカフェになっていて、照明の暗さやガラス越しに見える中庭が、ヨーロッパのどこかの町にいるような気分にしてくれます。ギャラリー カフェ ヤスタケのHPはこちら

パウル・グロス写真展の詳細は下の画像をご覧ください。
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by AngeBleu | 2010-09-21 23:17 | 美術・アート

ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展

ほんの少し暑さもやわらいできたので、上野の国立西洋美術館で開催中の「カポディモンテ美術館展」に行ってきました。
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展覧会のポスターにもなっている『貴婦人の肖像』が目当てだったのですが、それ以外にも、ティツィアーノの『マグダラのマリア』、グイド・レーニの『アタランテとヒッポメネス』、カラッヴァジョ派の画家の作品など、日本では滅多に見られないマニエリスムからバロック期の名作揃い。ナポリといえば、すれ違う男の99%がナンパしてくる町というイメージしかなかったのですが(笑・20年前の話)、芸術的にたいへん豊かな町だったのですね〜驚きました。

展示室の中でも圧倒的なオーラを放っていた『貴婦人の肖像』は、『長い首の聖母』(ウフィッツィ美術館)や『薔薇の聖母』(ドレスデン絵画館)で有名なマニエリスムの画家パルミジャニーノの作品。一見普通の肖像画なのに、この謎めいた雰囲気は何? 正面を見据えているのに、鑑賞者とはまったく目が合わない……。現在にいたるまでモデルが特定されていないというのも、人々の想像をかき立てる一因となっているようです。この絵には『アンテア』という別名もあります。パルミジャニーノの愛人だったローマの高級娼婦の名前だそうです。“貴婦人”とは真逆の身分です。でも、娼婦であれ、貴婦人であれ、男が自分の都合のいいように造り上げた女の理想像にすぎませんよね。だいたい、この女性(少女というほうがいいかな)、せいぜい18歳くらいでしょう。高級娼婦にしては貫禄がなく、貴婦人というには若すぎるような気がします。豪華な衣装を脱がせて、レザーのジャケットとミニスカートに着替えさせれば、現代のイタリアのどこかの街角にいそうな……。
「娼婦か、貴婦人かですって? 私はただの女の子なのに」
彼女の凍り付いた表情の中に、そんな戸惑いが見え隠れするような気がしました。

カラヴァッジョ自身の絵はなかったですが、カラヴァッジョに影響を受けたナポリのバロック画家たちの作品にいいものがたくさんありました。特におもしろいなあと思ったのが、女性画家アルテミジア・ジェンティレスキの『ユディトとホロフェルネス』
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カラヴァッジョの同主題の絵ではユディトは嫌悪感に顔をしかめながらこわごわ頸を斬っている感じですが、アルテミジアの描くユディトは、肉屋が肉をさばくように平然とした仕事ぶり。殺されたり暴行されたりする女の絵は正視できませんが、女が男を殺す絵を見ると、正直、すがすがしい気分になります(ポリティカリー・インコレクトで申し訳ない)。アルテミジアは、19歳のとき師匠の画家に暴行されたことがあるそうです。アルテミジアは強姦者を告発するものの、男の受けた処罰はごく軽いものでしかなく、彼女はいたく傷つきました。その裁判の1年後に描かれたのがこの絵だそうで、男への恨みと怒りをぶつけたものではないかといわれています。絵を描くことで、トラウマから解放されたのかもしれません。

あと珍しいものとしては、画家というよりは美術史家として知られるジョルジョ・ヴァザーリの絵がありました。
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『キリストの復活』。真面目に描いているはずなのに、なーんか笑える絵になっています。国旗をまとってウイニングランをするキリスト? ヴァザーリ先生~!。

カポディモンテ美術館展は、国立西洋美術館で、9月26日(日)まで開催。その後、10月9日から京都文化博物館を巡回します。日本に来ている間にもう一度くらい行ってみたい気もします。ナポリまではなかなか行けないですからね・・・
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by AngeBleu | 2010-09-13 22:44 | 美術・アート

奥多摩・御岳渓谷の清流に癒される

9月に入ったというのに、まだまだ真夏のような暑さが続いています。先週の日曜、ほんの少しの涼を求めて、奥多摩に散歩に出かけてきました。

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JR奥多摩線の御嶽駅。趣のある駅舎です。改札も自動化していなくて、駅員さんが切符を回収していました。東京にもまだこんな駅があったんですね。

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御嶽駅を降りてすぐ、御岳橋の上からの眺め。清流と濃い緑と吊り橋……。家から電車でわずか1時間半ほどのところだとは信じられない!

ちょうどお昼どきだったので、まずはお昼ご飯。ネットでチェックしておいた、渓流沿いのお食事処「いもうとや」に入ってみました。このお店は清酒メーカーの小澤酒造が経営しています。ならば、やはりお酒を飲んでみたい……。ということで、「きき酒セット」780円。
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起承転結の順に飲み比べができます。お酒が苦手という人も、少しずついろいろ試せるのがいいですね。夏限定のお酒「さわ音」が、さわやかで美味でした。
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「おぼろ豆腐膳」1250円。ご飯の上にたっぷりのおぼろ豆腐、その上にベーコン、油揚げ、ネギ、のりがトッピングされ、とろみのあるお出汁をかけていただきます。とろけるようなお豆腐と、カリカリの油揚げ。ふたつの異なる食感が楽しめて、意外なおいしさでした。
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こちらは、T君が頼んだ「奥多摩やまめのちらし寿司」1600円。やまめのお刺身って初めて食べましたが、よく脂がのっておいしかったです。

お腹がすっかり満足したあとは、渓谷を歩いてみることにしました。御岳駅から、東京方面に2駅戻った軍畑駅まで、渓流沿いに遊歩道が設けられ、1時間ほどのハイキングコースになっています。
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カヌーを楽しむ人もたくさん。
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写真で見ると涼しげな木陰の道でも、実際は全然涼しくはありません。なにしろ都心の最高気温35℃の日でしたから……。しばらく歩くと汗びっしょりに。ああ、水の中に入りた~い。
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水着を持っていなかったので、岩に座って、足先だけを水に浸しました。冷たくていい気持ち~。ここで30分くらい過ごしたでしょうか。水面のきらめきや、いくつもの小さな渦巻きを見ているだけで、幸せな気分に……。「被創造物で、三つのものだけが真に美しい。光、空間、そして、水」という、モーパッサンの小説の一節が頭に浮かびました。
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日曜日なのに、それほど人も多くなく、とてものんびりできました。東京に住み始めてもうすぐ10年になりますが、こんな近場にこれほど自然を満喫できる場所があるなんて知らなかったです。紅葉の頃もきれいでしょうね。次はレジャーシートとお弁当を持って来ようと思います。
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by AngeBleu | 2010-09-03 01:35 | おさんぽ日記

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