Trans Europe Express


フランス、ドイツなどヨーロッパの旅の話題を中心に、映画、音楽、ダンス、アート鑑賞記録も。
by AngeBleu
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心を溶かす言葉

ここしばらく、家にいるときはほぼ常にネットを見ている状態。でも、恐怖を煽る言葉にも、根拠のない慰めにも疲れ果てた。今はただ、やさしさだけに触れていたい。

ベルリン中央駅さんが紹介してくれたベルリン・フィルからの日本へのメッセージ。
http://www.youtube.com/watch?v=od49LF_x30w

ヴァイオリンのゼバスティアン・ヘーシュさんと音楽監督のサイモン・ラトルさんの力強く暖かい言葉。まだ公式には発表されていなかった来日についても言及してくれた。どこよりも早く東京からの退避勧告を出したドイツ。そして何よりもすでに放射能パニックが始まっている日本。来日は実現するのだろうか。それでも、彼らの思いやりの言葉は本当に心にひびくもので、とてもうれしく励まされた。

それから、ヌーブルジェファンのmykumaさんがブログで紹介してくれた、ダニイル・トリフォノフさんの日本への祈り。
http://www.facebook.com/video/video.php?v=1728150877206&oid=106788725326

音の中に、彼の祈り、思いがあふれている。
泣きたいけれど、泣けない。そんな人にぜひ、聴いてほしい。

被災者でもないのに「何もできない無力感」「収入減による生活不安」「放射能という見えない恐怖」などなどで、うちひしがれている私。弱くて怖がりで役立たずなのは事実。その事実を見つめながら、これからも生きていきたいと思う。
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by AngeBleu | 2011-03-23 21:04 | 音楽

エクス・アン・プロヴァンス音楽祭2011年

2011年南仏の夏の音楽祭情報、第2弾は、エクス・アン・プロヴァンス音楽祭です。
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7月5日から25日まで、毎日数か所の会場で、さまざまな演奏会が行われますが、メインはやはりオペラ。今年の主要公演は次のとおり。

7月6、8、9、12、14、16、18、20、22、24日(ラルシュヴェシェ劇場)
ヴェルディ『椿姫』
指揮:ルイ・ラングレ
演奏:ロンドン交響楽団

7月7、10、13、15、19、21(ラルシュヴェシェ劇場)
モーツァルト『皇帝ティートの慈悲』
指揮:コリン・デイヴィス
演奏:ロンドン交響楽団

7月8、10、12、14日(プロヴァンス大劇場)
ショスタコーヴィチ『鼻』
指揮:大野和志
演奏:リヨン国立管弦楽団

7月9、10、12、13、16、17、19、20、22、23(グラン・サン・ジャン)
ヘンデル『エイシスとガラテア』
指揮:レオナルド・ガルシア=アラルコン
演奏:ヨーロッパ音楽アカデミー・バロック・オーケストラ(?)

『椿姫』では、日本でも人気のソプラノ、ナタリー・デセイがヴィオレッタを歌います(6、9、12、16、20、24日)。素敵でしょうね~。昨年に引き続き音楽祭に登場する大野和志『鼻』も楽しみな作品。演出は南アフリカのアーティスト、ウィリアム・ケントリッジですから、昨年同様、音楽と美術が一体となった斬新な舞台になることでしょう。そして、ヘンデルの『エイシスとガラテア』。無知な私は、この作品名を聴いたのもはじめてだし、指揮者もオケも歌手も全然知らない人ばかりですが、演出、美術、衣装、照明がなんと勅使川原三郎です(出演はしないみたい)。これも楽しみ! 「楽しみ」と言っても、私は今年の夏エクスに行く予定はないので、去年のようにネット放送(ARTELive web)で見られるといいなあという希望です。

なお、『椿姫』、『鼻』、『エイシスとガラテア』は、ネット上では現時点でほとんど完売状態です。まだ2月なのに早いですね。HPには「再発売されることもありますので、再度サイトをご覧ください」と書いてありますので、これからの方もあきらめずにこまめにHPを覗いてみましょう。

エクス・アン・プロヴァンス音楽祭の公式HP
http://www.festival-aix.com

関連情報
オランジュ音楽祭2011年
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by AngeBleu | 2011-02-19 21:40 | 音楽

オランジュ音楽祭2011年

まだ2月ですが、南仏の夏の音楽祭速報です。
まずは、2011年オランジュ音楽祭Les Choregiesのプログラム。

7月9日(土)21:45
7月12日(火)21:45

ヴェルディ『アイーダ』
指揮:トゥガン・ソヒエフ
演奏:トゥールーズ・キャピトル管弦楽団
出演:インドラ・トーマス(アイーダ)、エカテリーナ・グバノヴァ(アムネリス)、カルロ・ヴェントレ(ラダメス)

7月11日(月)21:45
ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第3番』
チャイコフスキー『交響曲第5番』

指揮:トゥガン・ソヒエフ
演奏:トゥールーズ・キャピトル管弦楽団
ピアノ:デニス・マツエフ

7月16日(土)21:45
ベートーヴェン『交響曲第9番』
指揮:トゥガン・ソヒエフ
演奏:トゥールーズ・キャピトル管弦楽団
ソリスト:リカルダ・メルベート、ナタリー・シュトゥッツマン、エンドリック・ヴォトリッヒ、アルベルト・ドーメン

7月30日(土)21:30
8月2日(火)21:30

ヴェルディ『リゴレット』
指揮:ロベルト・リッツィ=ブリニョーリ
演奏:フランス国立管弦楽団
出演:パトリツィア・チョーフィ(ジルダ)、マリー=アンジュ・トドロヴィッチ(マッダレーナ)、レオ・ヌッチ(リゴレット)、ヴィットリオ・グリゴーロ(マントヴァ公爵)

若手指揮者No.1の呼び声が高いソヒエフが手兵のトゥールーズ・キャピトル管弦楽団を率いてオランジュ音楽祭に登場。ネット放送での中継があればいいな~。

詳しいプログラムと予約の詳細はオランジュ音楽祭公式サイトでどうぞ。
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2006年の『アイーダ』公演。ここほどアイーダが似合う劇場はないでしょう。なにしろ背後の壁は、作り物ではなく、本物の古代遺跡なのですから。
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by AngeBleu | 2011-02-18 21:15 | 音楽

2010年のクリスマスイブ

12月24日に休みが取れるのは数年ぶり。同じくお休みだったTくんと、今年最後のお出かけをしました。
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まずは、上野の国立西洋美術館で開催中の「デューラー版画展」へ。メルボルン国立ヴィクトリア美術館のコレクションから105点、国立西洋美術館のコレクションから49点。デューラーの版画作品だけで構成された贅沢な展覧会です。平日だからか、版画ばかりという地味な企画のせいか、人影はまばら。ゆっくり見られてよかったです。「聖母伝」や「受難伝」など宗教画のシリーズもおもしろかったのですが、なんといってもすばらしいのは最後のほうに並んでいた、「メレンコリアI」「書斎の聖ヒエロニムス」「騎士と死と悪魔」の3大傑作。美術書の図版などでおなじみの作品ですが、実物を見るのは初めて。正直言ってこれほどすごいとは思っていなかった。超絶技巧はもちろんだけど、画面から発せられる謎、神秘……、意味はほとんどわからないのに、引き寄せられずにはいられない何ものかがあります。この3点、国立西洋美術館のコレクションだとは知りませんでした(あと、「メレンコリアⅡ」「メレンコリアⅢ」って見たことないなあ?と思っていた……)。
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美術館の庭にはブールデルとロダンの彫刻が並び、周りの木立もどこかヨーロッパ風で、パリの美術館に来たような気分になります。
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美術館内のレストラン「すいれん」は、大きなガラスの向こうに見える中庭が美しく落ち着ける場所。企画展に合わせたメニューなど、料理もなかなか凝っているんです。今回は、デューラー展に合わせた特別メニュー。ソーセージ5種類の盛り合わせとモーゼルワイン。ワインはフルーティーな甘口でとてもおいしかったけれど、グラス1杯で我慢。このあと、美術館の向かい側の文化会館でコンサートがあるからです。
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19時からは、コンスタンチン・リフシッツのピアノ・リサイタル。演目は、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」です。奇しくも今日はオール・ドイツ・プログラムとなりました(デューラー→ソーセージ→バッハ)。
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ゴルトベルク変奏曲ってこんなにエネルギッシュで空間的に大きな曲だったのかと思うほど、パワーにあふれた演奏でした。最後の環が閉じられるように冒頭のアリアに戻ったときは、宇宙の生成の秘密に触れた気分になりました。クリスマスイブにふさわしいすばらしい贈り物でした。リフシッツさんについての予備知識はまったくなかったのですが、この方、現代最高のバッハ弾きとされるピアニストだそうです。18歳のときにゴルドベルク変奏曲を録音して以来、継続的にバッハに取り組んでおられるようです。ピアノ独奏の『音楽の捧げもの』など、すごくおもしろそう。ぜひ聴いてみたいです。
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by AngeBleu | 2010-12-26 22:03 | おさんぽ日記

エッシェンバッハの初期ピアノ作品集

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前から復刻を待ち望んでいた、クリストフ・エッシェンバッハの初期ピアノ作品。6枚組のCDボックスが出ていたのを、相棒Tくんが見つけて買ってきてくれました。40年前の、まだ30代の青年だった頃のエッシェンバッハの演奏です。

CD1
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 Op.37(録音時期:1971年12月)
 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ指揮、ロンドン交響楽団
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73『皇帝』(録音時期:1973年10月)
 小澤征爾指揮、ボストン交響楽団
CD2
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調 Op.106『ハンマークラヴィーア』(録音時期:1970年6月)
CD3
・ショパン:24の前奏曲集 Op.28、前奏曲嬰ハ短調 Op.45、前奏曲第26番変イ長調(録音時期:1971年10月)
・シューマン:子供の情景 Op.15(録音時期:1966年5月)
CD4
・シューベルト:ピアノ・ソナタ第20番イ長調 D.959(録音時期:1973年4月)
CD5
・シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D.960(録音時期:1974年4月)
CD6
・ヘンツェ:ピアノ協奏曲第2番(1967)(録音時期:1970年4月)
 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ指揮、ロンドン・フィル

聴いたことがあるのは『ハンマークラヴィーア』だけで、ほかは初めて聴く演奏ばかりです。全体的になんともほの暗ーい雰囲気がただよっています。『皇帝』は、皇帝というよりナイーブな王子様みたいだし、ショパンの『前奏曲集』は、それこそ史上最暗のショパンではないでしょうか。あの色彩豊かな前奏曲集が、これほどモノクロ―ムな寂寥の世界になるなんて……。これは気分の落ち込んでいるときに聴いてはいけません。鬱をこじらせる恐れがあります。

これからもたびたび聴きたいと思ったのは、シューベルトのソナタふたつ。シューベルトのピアノ・ソナタって、長くて、暗くて、あまり好きじゃなかったのですが、エッシェンバッハの冴え冴えと冷たく透明な演奏を聴き、その得体のしれない暗さの謎をもっと探ってみたくなりました。
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by AngeBleu | 2010-10-26 20:20 | 音楽

エクス・アン・プロヴァンス音楽祭@ARTE Live Web

この3連休は、南仏のフェスティバルで音楽三昧でした! 実際に行ったのではなく、インターネットのライブ放送で楽しんだんですけどね。

現在開催中のエクス・アン・プロヴァンス音楽祭のプログラム中、注目の2公演がARTE Live Webでオンデマンド配信されています。
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モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』
(7月5日/アルシュヴェシェ劇場)
指揮:ルイ・ラングレ
演奏:フライブルク・バロック管弦楽団
演出:ドミトリー・チャルニャコフ


舞台は現代に置き換えられ、キャラクター設定もかなり大胆に改変されています。オペラというよりストレートプレイを見ているようで、なかなかおもしろかったです。好き嫌いは分かれると思います。客席の反応も、演出家に対してはブラボー1に対してブーイングが9くらい(笑)。

ストラヴィンスキー『夜鳴き鶯とその他の物語』
(7月7日/プロヴァンス大劇場)
指揮:大野和士
演奏:リヨン国立歌劇場管弦楽団
演出:ロベール・ルパージュ


大野和士が2008年から主席指揮者を務めるリヨン国立歌劇場管弦楽団を率いて音楽祭に登場。この曲は初めて聴きましたが、とても楽しめる作品です。音楽と美術が一体となった、華麗な幻想の世界。最初から最後まで美しい夢を見ているようでした。

まだ見ていませんが、ARTE Live Webでは、ほかに、アヴィニョン演劇祭から、クリストフ・マルターラーの『Papperlapapp』(7月17日/アヴィニョン法王庁宮殿)が配信されています。

それにしても、日本にいながらにして、南仏のフェスティバルを体験できる日が来るとは。もちろん、バカンス期の南仏独特の開放感、ハーブの香り、乾いた風、夜の9時を過ぎても明るい空……。そういうのは現地に行かないと体験できませんが、そのわずかなかけらだけでも味わえるのはうれしいことです。

それから、映像がなく音のみになりますが、ラジオ局のfrance musiqueのサイトでは、連日モンペリエ・ラジオ・フランス音楽祭のライブが放送されています。
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左のメニューから、「concert a la reecoute」をクリックすると、コンサートのリストが出てきます。アンヌ・ケフェレックのヘンデル、バッハを中心にしたリサイタル、ライプツィヒ弦楽四重奏団の気迫あふれるシューマン、シューベルト、ヤナーツェクなど、いいコンサートがいろいろ。

france musiqueでは、7月末から8月にかけて、サロン・ド・プロヴァンスの室内楽フェスティバル、ラ・ロック・ダンテロンのピアノフェスティバルのライブが放送されます。私は今年は夏休みがないので、特に楽しみです。
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by AngeBleu | 2010-07-20 00:57 | 音楽

イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノリサイタル(5月5日)

2日前のピアノ協奏曲のせいでほてった体を冷やす間もなく、ポゴレリッチのピアノリサイタルの日がやってきました。

ショパン:夜想曲 ホ長調 op.62-2
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58
リスト:メフィスト・ワルツ第1番
***
ブラームス:間奏曲 変ロ長調 op.118-2
シベリウス:悲しきワルツ
ラヴェル:夜のガスパール


最初の夜想曲は、作品55-2の予定が、演奏会直前に作品62-2に変更されました。また後半に、当初は予定されていなかったブラームスの間奏曲が“演奏家の希望により”追加されました。

最初のショパン2曲は、2005年の公演プログラムと同じということになります。前回、ポゴレリッチ生演奏会がはじめてだった私は、ものすごいスローテンポに驚き、これは苦行か?拷問か?と思うような、極度の緊張を強いられ、途中で具合が悪くなったほど(通常25分ほどのピアノ・ソナタが40分以上もかかったのです)。ですが、今回は2度目ということもあり、覚悟ができていたので、わりと冷静に聴くことができました(そこまでして聴きたいんかい!といわれれそうですね。なんか、麻薬と同じで、一度体験するとやみつきになるのです……)。普通の演奏では外面の華やかさに隠れて見えなくなってしまうショパンの闇の部分を、ポゴレリッチは執拗にえぐり出して見せます。いわゆる優雅で甘美なショパンが好きな人には耐えられないのかもしれませんが、その優雅さ、甘美さゆえにショパンが苦手だった私は、ポゴレリッチの暴き出した、暗く、虚無的で、怪奇趣味的なショパンに、恐怖しながらも惹きつけられずにはいられません。

リストの「メフィスト・ワルツ」、ブラームスの間奏曲、シベリウスの「悲しきワルツ」……と、作曲者は変わっても、基本的なアプローチは同じ。悪魔的、催眠的なムードは変わりません。黒魔術の儀式のような時間が続きます。「悲しきワルツ」では、いつまでたってもワルツなんて始まらず……。いつしか意識が遠のき、かなーり長い夢を見て、最後の一音ではっと目が覚めました。演奏会で寝てしまうなんてはじめてだわ。しかし、次の「夜のガスパール」は圧巻の演奏でした。ラヴェルの描いた怪奇、幻想の世界がリアルなイメージとして目の前に広がるという恐るべき体験をしました。

時間の感覚がわからなくなり、終わったときは、一夜を過ごしたような、一瞬の出来事だったような、不思議な気分でした。ホールを出たのは17時20分過ぎだったので、たっぷり3時間以上の演奏会だったことになります。

心にも体にもずっしりとくる、ヘヴィーな演奏会でした。しばらくの間、ピアノ曲は聴きたくない感じです。
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by AngeBleu | 2010-05-06 01:33 | 音楽

ラ・フォル・ジュルネ2010(5月3日)

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「ラ・フォル・ジュルネ2010」2日目の5月3日に聴いた3公演の感想です。

公演No.252 ホールD7 11:45-12:30
アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
ラヴェル:蛾(「鏡」より)
ラヴェル:悲しい鳥たち(「鏡」より)
ショパン:ノクターン 嬰ハ短調
ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調
ドビュッシー:水に映る影(「映像第1集」より)
ショパン:子守歌 変ニ長調
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調
ラヴェル:洋上の小舟(「鏡」より)


アンヌ・ケフェレックを一度聴いてみたかったのと、ショパンのピアノ曲で一番好きな「舟歌」が入っているから選んだ公演。ショパンの作品の中でも、フランス的、印象派的な色彩の強い曲に、ショパンに影響を受けたフランスの印象主義の作曲家たちの作品を交えた、非常に興味深いプログラムです。「水と大気を感じながら、あてどのない旅に出るような時間にしたい」というケフェレックさんの言葉どおり、いつしか心は小さな会場から飛び立ち、さわやかな風に吹かれながら、水面にきらめく光や、葉の間からしたたる光を見ているような気分に……。なんともいえない幸福感に包まれる、夢のような1時間でした。

公演No.253 ホールD7 13:30-14:15
タチアナ・ヴァシリエヴァ(チェロ)
ジャン・フレデリック・ヌーブルジェ(ピアノ)
アルカン:チェロとピアノのための演奏会用ソナタ ホ長調
ショパン:チェロ・ソナタ ト短調


去年リサイタルを聴いて以来お気に入りのピアニストになったジャン・フレデリック・ヌーブルジェが出演。チェロ・ソナタとはいえ、どちらの曲も、ピアノが同等に活躍し、技巧的な聴きどころがいっぱいでした。知的で端正でありながら、若いエネルギーがはじけるようなジャン・フレデリックのピアノは相変わらず魅力的。タチアナさんのチェロも同じくみずみずしさにあふれたすばらしいもの。ふたりの息もぴったりあって、胸のすくような演奏でした。
(帰宅してラジオをつけると、ちょうどNHK・FMにジャン・フレデリックが生出演してインタビューに答えていました。それによると、彼は24時間前にアメリカでコンサートをして、その足で日本に向かって、今日7公演をこなしたそうです。すごい。若いっていいなあ。)

公演No.213 ホールA 14:30-15:30
イーヴォ・ポゴレリッチ(ピアノ)
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ゲオルグ・チチナゼ(指揮)
エルスネル:交響曲 ハ長調
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調


前の公演が終わった時点で、この公演が始まる15時30分をすでに過ぎていました。そりゃ、チェロ・ソナタ2曲やって45分で終わるわけないよねえ。終わるやいなや、拍手もそこそこに(ほんとごめんね)ホールD7からホールAへ走りました。ホールAに着いたときには、すでに1曲目の交響曲は始まっていて、これが終わるまで扉の外で待つことになってしまいました。スピーカーから流れてくる曲を聴くと、ハイドン風のごくごく普通の古典派の交響曲だったようです。次のピアノ協奏曲までの腕ならしみたいなもの?

そしていよいよポゴレリッチ登場(以下「ポゴたん」と略します)。何年か前のリサイタルで聴いたあまりにも異様なショパン(ピアノ・ソナタ第3番)が忘れられず、楽しみ、というよりは、怖いもの見たさ的な気持ちでやってきました。果たして、あの個性的というか、ムチャクチャな(笑)演奏に、オーケストラが合わせられるのか!?

今回も、最初の1音からポゴたん節炸裂!! スローというのを通り越して、音がひとつひとつ分解されてしまって……なんの曲をやっているのか、わからなくなってしまうほどです。耳に心地よい、甘美でロマンチックなショパンはどこにもありません。ひたすら暗く、苦悩し、立ち止まり、慟哭するショパン。それなのに……壮絶に美しいんです。好き嫌いはさておいて、ここにいたすべての人が、何かとてつもなくすごい演奏会に立ち会ったという気持ちになったのではないでしょうか。驚いたのは、意外にもオーケストラがポゴたんによく合わせていたこと。変幻自在のテンポにしっかり寄り添って、ときにはともにすすり泣き、ときにはやさしく包み込むような……すばらしい伴奏だったと思います。

あと、聴衆の集中力もすごかった。5000人収容のホールは満席。ポゴたんをはじめて聴く人、そしておそらくはクラシックの演奏会自体はじめてという人も少なくなかったであろう会場で、全員が身じろぎもせず耳をそばだてていたのは奇跡のよう。あるいはポゴたんの黒魔術で金縛りにあっていたのか。私もそういう状態でした。

演奏が終わると、緊張が一気に溶けたように大ホールはものすごい拍手と歓声に包まれました。ポゴたんは非常に満足げな顔で指揮者にほほえみかけ、自分で楽譜を持って退場。その堂々たる姿は、まるで花道を歩く横綱(笑)。ポゴたん、いつのまにそんな風格を身につけたの? 1990年代のCDジャケットの、ちょっと不良っぽい華奢な美少年とはまったくの別人です。

ここまでですでに終演予定時刻をかなり過ぎていたのに、ポゴたん、再度楽譜を抱えて登場しました。なんと、まさかのアンコール! 第2楽章を再び全曲演奏してくれたのです。最初の演奏とは微妙に変えてきていたような気がします。先ほど聴いた時とはまた違う感慨におそわれ、涙にむせんでしまいました。

ポゴたん初体験だった相棒Tもすっかり気に入ったようです。5月5日にはサントリーホールでリサイタルがあります。ますます楽しみになってきました。
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by AngeBleu | 2010-05-04 20:36 | 音楽

ラ・フォル・ジュルネ2010(5月2日)

「ラ・フォル・ジュルネ2010」のテーマはショパンですが、私が1日目に聴いたのは、ショパンではなくメンデルスゾーンの曲。オラトリオ「パウロ」です。

この曲は、去年買った「ハルモニアムンディフランス宗教音楽BOX」に入っていたのを聴いて興味を持ちました。もちろん実演に接するのは初めてです。演奏会で取り上げられること自体非常に珍しいようなので、この機会を楽しみにしていました。

指揮はミシェル・コルボ、演奏はローザンヌ声楽アンサンブルとシンフォニア・ヴォルソヴィア。すばらしい作品、すばらしい演奏でした。特に、合唱は本当に神がかり的な美しさ。2時間休憩なしの長丁場でしたが、まったく退屈する部分がありませんでした。

新約聖書の中でも「使徒行伝」はあまり熱心に読んでいないのですが、「サウロの回心」のくだりだけはよく読み返します。私はキリスト教信者ではないので、宗教的な意味ではなく、ひとりの人間の劇的な生まれ変わりの物語として、心ひかれるのです。

オラトリオ「パウロ」でも、一番盛り上がるのが、「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」という天からの声(女声合唱)が響く第14曲あたりから。「立ち上がり、光となれ」という力強い合唱に続いて、バッハの有名なコラール「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」が歌われると、もう涙腺崩壊していました……。

パウロの物語は、ユダヤ人でありながらプロテスタントに改宗したメンデルスゾーンにとっても切実なテーマだったのではないかと想像します。ハルモニアムンディBOXに入っているヘレヴェッヘ盤も、聴き込んでいこうと思います。演奏会場で歌詞の対訳(300円)を買おうかどうか迷ったのですが、買っておいてよかった。これからも末永く役立ちそうです。
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by AngeBleu | 2010-05-03 01:07 | 音楽

エッシェンバッハ&パリ管「マーラー6番」

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あたたかくなったと思ったらまた寒くなり……の繰り返しで、とうとう体調を崩してしまいました。青空のさわやかな土曜日だというのに、どこにも出かけられず残念。でも、アパートの庭に咲く色とりどりのチューリップに心を慰められました。同じ敷地に住んでいる大家さんが、季節ごとにいろいろな花を育てておられるので、楽しませてもらってます。

家で1日ゆっくりするのも久しぶりです。パリ管のサイトをチェックしたら、マーラーチクルスの2回目、交響曲第6番のビデオがアップされていたので、視聴しました。この前の2番と比べて、意外とあっさりした演奏かも。とはいえ、なんといっても映像付きなので楽しいです。目で指揮する男、エッシェンバッハの顔のアップがかっこいいんですよね。

今後の配信予定は次のとおりです。

4月15日 交響曲第1番「巨人」
5月15日 交響曲第8番「千人の交響曲」
6月15日 交響曲第9番
7月15日 交響曲第5番
8月15日 交響曲第4番
9月15日 交響曲第3番
10月15日 交響曲第7番

(「大地の歌」と10番が見あたらないですが、このあとになるということでしょうかね。)
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by AngeBleu | 2010-04-10 22:08 | 音楽

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