Trans Europe Express
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3年ぶり、そして、最後の「マラーホフの贈り物」。
「白鳥の湖」第2幕より
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・マラーホフ
「トゥー・タイムス・トゥー」
振付:ラッセル・マリファント 音楽:アンディ・カウトン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ
「ギルティー」
振付:エドワード・クルグ 音楽:フレデリック・ショパン
マライン・ラドメーカー
「ラ・ペリ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:ヨハン・ブルグミュラー
吉岡美佳、ウラジーミル・マラ ーホフ
「海賊」より奴隷のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽:コンスタンティン・フリードリヒ・ペーター
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル
「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ
「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:ベンジャミン・ブリテン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー
「レ・ブルジョワ」
振付:ヴェン・ファン・コーウェンベルク 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル
「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ
「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン
「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア 音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ
最初の演目、「白鳥の湖」で王子が登場した瞬間、軽くショックを覚えました。
え、誰? まさか、これがマラーホフ?
重い・・・腕とか胴回りとか・・・太い ・・・
まるで筋肉付き肉襦袢を着ているみたいです(泣)
あの妖精マラーホフはどこへ行ってしまったの(大泣)
マラーホフは4演目の出演だけど、3演目は女性を持ち上げたり回したりするだけで、ほとんど見どころなし。ソロの演目が当初予定されていた「ヴォヤージュ」から「瀕死の白鳥」に変更となったのも、かなりがっくりでした。「瀕死の白鳥」は前回見て正直つまらんと思った作品でしたから。
しかし!
その「瀕死の白鳥」が素晴らしかったのです。前回とは全然違う作品に見えました。死への戸惑い、諦念、覚悟、そして、精一杯生きてきたことへの誇り。満身創痍の今のマラーホフだからこそできた表現だと思います。まさにマラーホフ の白鳥の歌のように思えて、涙が止まりませんでした。
やはり今回も期待を裏切らなかった・・・というより、期待とはまったく違った部分で驚かせ感動させてくれたマラーホフ。今度の日曜日のBプロが、いよいよ本当に最後の贈り物となります。足を傷めているというのが心配だけど、「ヴォヤージュ」踊ってくれるといいな・・・。
その他のダンサーに関して。10年ぶりくらいに見るルシア・ラカッラは、相変わらず驚異的な体の柔らかさと可憐な容姿。アクロバティックな演目でしか見たことがなかったけれど、「椿姫」のようなドラマティックな役柄も似合うのですね。
もうひとりお目当てだったマライン・ラドメーカーは、なんと公演日の朝、日本 に到着したのだとか。ソロのコンテンポラリー作品は、ショパンの曲に合っているのか合っていないのか、いいんだか悪いんだかわからないけど、ラドメーカーの踊りはすごくよかった。というか、はっきり言いましょう。「顔」がいいんです! バレエの感想とは思えない感想で申し訳ない(笑)
「白鳥の湖」第2幕より
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・マラーホフ
「トゥー・タイムス・トゥー」
振付:ラッセル・マリファント 音楽:アンディ・カウトン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ
「ギルティー」
振付:エドワード・クルグ 音楽:フレデリック・ショパン
マライン・ラドメーカー
「ラ・ペリ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:ヨハン・ブルグミュラー
吉岡美佳、ウラジーミル・マラ ーホフ
「海賊」より奴隷のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽:コンスタンティン・フリードリヒ・ペーター
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル
「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ
「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:ベンジャミン・ブリテン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー
「レ・ブルジョワ」
振付:ヴェン・ファン・コーウェンベルク 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル
「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ
「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン
「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア 音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ
最初の演目、「白鳥の湖」で王子が登場した瞬間、軽くショックを覚えました。
え、誰? まさか、これがマラーホフ?
重い・・・腕とか胴回りとか・・・太い ・・・
まるで筋肉付き肉襦袢を着ているみたいです(泣)
あの妖精マラーホフはどこへ行ってしまったの(大泣)
マラーホフは4演目の出演だけど、3演目は女性を持ち上げたり回したりするだけで、ほとんど見どころなし。ソロの演目が当初予定されていた「ヴォヤージュ」から「瀕死の白鳥」に変更となったのも、かなりがっくりでした。「瀕死の白鳥」は前回見て正直つまらんと思った作品でしたから。
しかし!
その「瀕死の白鳥」が素晴らしかったのです。前回とは全然違う作品に見えました。死への戸惑い、諦念、覚悟、そして、精一杯生きてきたことへの誇り。満身創痍の今のマラーホフだからこそできた表現だと思います。まさにマラーホフ の白鳥の歌のように思えて、涙が止まりませんでした。
やはり今回も期待を裏切らなかった・・・というより、期待とはまったく違った部分で驚かせ感動させてくれたマラーホフ。今度の日曜日のBプロが、いよいよ本当に最後の贈り物となります。足を傷めているというのが心配だけど、「ヴォヤージュ」踊ってくれるといいな・・・。
その他のダンサーに関して。10年ぶりくらいに見るルシア・ラカッラは、相変わらず驚異的な体の柔らかさと可憐な容姿。アクロバティックな演目でしか見たことがなかったけれど、「椿姫」のようなドラマティックな役柄も似合うのですね。
もうひとりお目当てだったマライン・ラドメーカーは、なんと公演日の朝、日本 に到着したのだとか。ソロのコンテンポラリー作品は、ショパンの曲に合っているのか合っていないのか、いいんだか悪いんだかわからないけど、ラドメーカーの踊りはすごくよかった。というか、はっきり言いましょう。「顔」がいいんです! バレエの感想とは思えない感想で申し訳ない(笑)
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by AngeBleu
| 2013-05-22 22:39
| バレエ
3年ぶりのマリインスキー・バレエ。「白鳥の湖」を、自宅から車でわずか15分のところにある府中の森芸術劇場で観ることができました。お目当てはもちろん、ウリヤーナ・ロパートキナです。こんな東京の外れの田舎町で、世界の至宝、ロパートキナの白鳥が見られるなんて~ありがたいことです。
ロパートキナの白鳥のすばらしさについては、いたるところで語り尽くされているので、今さら何も言うことはないですね……。ただ美しい踊りを見ているというのではなく、「美」そのものを見ていた3時間。ロパートキナは、神の「イデア」を人間の目に見えるように伝えるべく選ばれた芸術家なのだと思いました。
さて、「白鳥の湖」のラストには、大きく分けて3つのバージョンがあります。
1.王子が悪魔に勝利して、オデットと結ばれるハッピーエンド
2.王子とオデットは湖に身を投げ、天に昇って行く(現世では結ばれないが、あの世で結ばれるからハッピーエンドといえなくもない)
3.王子とオデットは引き裂かれ、あの世でも決して結ばれることはない
最近は、1のハッピーエンドバージョンの演出は減っているのだとか。今年観た他のふたつの「白鳥」(ボリショイ、シュトットガルト)は両方、3の究極のバッドエンドでした。たしかに、物語として納得できるのは3ですね。愛し抜くことができなかった者は、死後も永遠の責め苦を負うべきだと思いますから。1バージョンでは、王子が悪魔の翼をぶちっと引きちぎって、悪魔がアイタタ……って苦しんで死ぬんです。デパートの屋上でやっているヒーローショーかよ(笑)って突っ込みたくなりますよねえ。ところが、今回のマリインスキーの「白鳥」はそのあほらしい1バージョンなんです。
でも、ロパートキナの「白鳥」に限っては、ハッピーエンドでよかったな~と思いました。魔法が解けて、白鳥から人間の女性に戻ったときの姿が見られるから! 冷たく冴え冴えとした表情が一転、晴れやかな笑顔に変わる瞬間。あの花のような笑顔を見たら、ストーリーの荒唐無稽を忘れてしまいます。「白鳥」の一番の見どころといえば、オデット/オディールの演じ分けですが、ロパートキナの場合は、人間の女性というもうひとつのキャラクターも演じているのですね。すごい。
ロパートキナの白鳥のすばらしさについては、いたるところで語り尽くされているので、今さら何も言うことはないですね……。ただ美しい踊りを見ているというのではなく、「美」そのものを見ていた3時間。ロパートキナは、神の「イデア」を人間の目に見えるように伝えるべく選ばれた芸術家なのだと思いました。
さて、「白鳥の湖」のラストには、大きく分けて3つのバージョンがあります。
1.王子が悪魔に勝利して、オデットと結ばれるハッピーエンド
2.王子とオデットは湖に身を投げ、天に昇って行く(現世では結ばれないが、あの世で結ばれるからハッピーエンドといえなくもない)
3.王子とオデットは引き裂かれ、あの世でも決して結ばれることはない
最近は、1のハッピーエンドバージョンの演出は減っているのだとか。今年観た他のふたつの「白鳥」(ボリショイ、シュトットガルト)は両方、3の究極のバッドエンドでした。たしかに、物語として納得できるのは3ですね。愛し抜くことができなかった者は、死後も永遠の責め苦を負うべきだと思いますから。1バージョンでは、王子が悪魔の翼をぶちっと引きちぎって、悪魔がアイタタ……って苦しんで死ぬんです。デパートの屋上でやっているヒーローショーかよ(笑)って突っ込みたくなりますよねえ。ところが、今回のマリインスキーの「白鳥」はそのあほらしい1バージョンなんです。
でも、ロパートキナの「白鳥」に限っては、ハッピーエンドでよかったな~と思いました。魔法が解けて、白鳥から人間の女性に戻ったときの姿が見られるから! 冷たく冴え冴えとした表情が一転、晴れやかな笑顔に変わる瞬間。あの花のような笑顔を見たら、ストーリーの荒唐無稽を忘れてしまいます。「白鳥」の一番の見どころといえば、オデット/オディールの演じ分けですが、ロパートキナの場合は、人間の女性というもうひとつのキャラクターも演じているのですね。すごい。
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by AngeBleu
| 2012-11-25 19:42
| バレエ
一昨年初めて観て感激し、再演を待ち望んでいた、東京バレエ団の「オネーギン」。今回は、吉岡美佳さんとエヴァン・マッキーの日を選びました。エヴァン・マッキーは、今年の6月のシュツットガルト・バレエ団の「白鳥の湖」で知ったダンサー。シュツットガルト・バレエ団のその公演はいろいろな意味で残念な公演だったのですが(あまり多くは語るまい)、唯一の収穫が、エヴァン・マッキーに出会えたこと。顔だけ見れば、金融関係にお勤めの方?みたいな印象なのですが(笑)、舞台上の姿は本当に美しく、ノーブルで端正で、パートナーへの心配りも完璧な、まさに理想のジークフリードでした。
そのエヴァン・マッキーのオネーギンは、期待以上のすばらしさでした。一幕、ノクターンOp.19-4で踊る最初のソロで、もう涙が……。冷酷さの鎧の中に、とてつもなく大きな空虚を抱えた男。その空虚の中心に、ガラスのようなナイーブな心が隠れている。それが一瞬にしてわかってしまって、もう痛々しくてかわいそうで……。タチヤーナはオネーギンが単に都会的でかっこいいオニイチャンだから好きになったわけではなく、彼の中にどこか自分に似たところを見つけて惹かれたのではないでしょうか? 二幕でオネーギンがタチヤーナの手紙を破っていくシーンでは、タチヤーナよりもむしろオネーギンが哀れで泣けました。……オネーギンという人物にこんなに感情移入できるなんて、本当に意外。一昨年木村和夫さんで観たときは、ひたすら憎たらしくて、最後タチヤーナに拒絶されたのも「自業自得じゃ!」と思ったのに(笑)
一方、オネーギンとタチヤーナのデュエットでは、残念ながら心震えるような瞬間はついに訪れませんでした。吉岡美佳さんは容姿もテクニックも申し分ないタチヤーナで、エヴァン・マッキーと並んで決して見劣りするわけではないのです。なのに、なぜでしょうね。そこに愛がなかった……。斎藤友佳理&木村和夫の、ふたつの魂がひとつの炎となって燃え上がるような、あれほどまでのパートナーシップはまさに奇跡だったのだな~と今さらながらふたり(特に斎藤さん)の凄さを再認識。そして、演じる人の違いでまったく別のドラマを見せてくれる「オネーギン」という演目に、ますます魅せられました。

そのエヴァン・マッキーのオネーギンは、期待以上のすばらしさでした。一幕、ノクターンOp.19-4で踊る最初のソロで、もう涙が……。冷酷さの鎧の中に、とてつもなく大きな空虚を抱えた男。その空虚の中心に、ガラスのようなナイーブな心が隠れている。それが一瞬にしてわかってしまって、もう痛々しくてかわいそうで……。タチヤーナはオネーギンが単に都会的でかっこいいオニイチャンだから好きになったわけではなく、彼の中にどこか自分に似たところを見つけて惹かれたのではないでしょうか? 二幕でオネーギンがタチヤーナの手紙を破っていくシーンでは、タチヤーナよりもむしろオネーギンが哀れで泣けました。……オネーギンという人物にこんなに感情移入できるなんて、本当に意外。一昨年木村和夫さんで観たときは、ひたすら憎たらしくて、最後タチヤーナに拒絶されたのも「自業自得じゃ!」と思ったのに(笑)
一方、オネーギンとタチヤーナのデュエットでは、残念ながら心震えるような瞬間はついに訪れませんでした。吉岡美佳さんは容姿もテクニックも申し分ないタチヤーナで、エヴァン・マッキーと並んで決して見劣りするわけではないのです。なのに、なぜでしょうね。そこに愛がなかった……。斎藤友佳理&木村和夫の、ふたつの魂がひとつの炎となって燃え上がるような、あれほどまでのパートナーシップはまさに奇跡だったのだな~と今さらながらふたり(特に斎藤さん)の凄さを再認識。そして、演じる人の違いでまったく別のドラマを見せてくれる「オネーギン」という演目に、ますます魅せられました。

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by AngeBleu
| 2012-10-07 14:16
| バレエ
パントマイマー橋本フサヨさんの久々のソロ公演を観に行きました。会場は、総武線平井駅から徒歩5分の商店街に建つ、大正ロマン風の内装が素敵な喫茶店「儚夢亭(ろまんてい)」。第一部はパントマイム、第二部は「かっぽれ」というなんとも異色なプログラムです。「かっぽれ」とは大阪の住吉神社で踊られていた奉納芸に端を発する大道芸。何年か前にフサヨさんが「かっぽれ始めたの。楽しいよ」と言うのを聞いてはいましたが、いつのまにか名取りにまでなっているなんて驚き! 現在は「桃川亜太坊」の名で踊っているそうです。
第一部は、いつもどおりマイムというより「フサヨ」芸としかいいようのない独自の詩情あふれる世界。特に、幼いジプシーの兄弟との出会いと8年後の再会が切なくまぶしく語られる『グラナダ』が素晴らしかったです。グラナダの夏の太陽と兄弟の笑顔、戸惑って立ちつくすフサヨさんの心情が、胸に迫ってきました。
第二部では、粋な着物姿で現れた桃川亜太坊。赤いたすきにねじりはちまきがかっこいい! 卵に手足というあの体型(失礼!)にして、抜群のリズム感とキレのよさ。他の人が踊るかっぽれを見たことがないのでなんともいえませんが、おそらくかなりフサヨさん独特の踊りになっていたのでは。マイムからかっぽれへの流れの違和感が全然ありません。なかでも『フラメンコかっぽれ』は傑作。森繁久彌さんの歌も最高なんですが、桃川亜太坊が踊るとさらにおもしろさ倍増で、会場が沸き返りました。ぶらぼー、あたぼー。

第一部は、いつもどおりマイムというより「フサヨ」芸としかいいようのない独自の詩情あふれる世界。特に、幼いジプシーの兄弟との出会いと8年後の再会が切なくまぶしく語られる『グラナダ』が素晴らしかったです。グラナダの夏の太陽と兄弟の笑顔、戸惑って立ちつくすフサヨさんの心情が、胸に迫ってきました。
第二部では、粋な着物姿で現れた桃川亜太坊。赤いたすきにねじりはちまきがかっこいい! 卵に手足というあの体型(失礼!)にして、抜群のリズム感とキレのよさ。他の人が踊るかっぽれを見たことがないのでなんともいえませんが、おそらくかなりフサヨさん独特の踊りになっていたのでは。マイムからかっぽれへの流れの違和感が全然ありません。なかでも『フラメンコかっぽれ』は傑作。森繁久彌さんの歌も最高なんですが、桃川亜太坊が踊るとさらにおもしろさ倍増で、会場が沸き返りました。ぶらぼー、あたぼー。

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by AngeBleu
| 2011-01-31 20:49
| 演劇

マラーホフといえば、王子さまだったり、妖精だったり……、浮世の悩み苦しみとは無縁の、ただただ美しく人間離れした存在で、それがゆえに長年ファンをやっているわけですが、今回の『チャイコフスキー』では、王子さまでも妖精でもない、ただの「人間」になりきっていて驚かされました。あのマラーホフが、無精ひげにぎらぎらした目の中年男を、汚辱にまみれた生とみじめな死を演じる日がこようとは……。最初のシーンでの死後硬直を思わせる体や、お金持ちのパトロン夫人がばらまいた札束をかき集めて卑屈に笑う表情など、心底ぞくっとしました。もちろん美しい踊り姿も堪能。特に第2幕後半、裸に黒いジャケットで踊るシーン、マラーホフのこんなキレキレの踊り見たのはじめてかもしれない。このシーンはコールドの男性陣もすごく妖しげでかっこよかったです。
『チャイコフスキー』、まさに「今のマラーホフ」に会うことができる作品でした。マニアックな作品なのに、これを日本公演に持ってきてくれたことに本当に感謝しています。ところで、今年の5月にベルリンで再演される『オネーギン』では、なんとマラーホフが今まで踊っていたレンスキーではなくオネーギンを踊るらしいですね。これを聞いたときは、「全く想像できない~キャラ違うし」と思ったのですが、今回のチャイコフスキーになりきっていたマラーホフを見て、今の彼ならオネーギンもきっといいだろうなあと思うようになりました。ああ、5月、ベルリンに行きたい!
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by AngeBleu
| 2011-01-22 21:19
| バレエ
ベジャールが三島由紀夫の作品と人生に想を得て創作した東京バレエ団オリジナル作品『M』が5年ぶりに再演されました。実は私はこの作品を観るのは初めて。ベジャール、ミシマ、どちらも苦手なもので、避けていたんですよね……。しかし、今回は、初演で“IV(シ)”を踊った小林十市さんが7年ぶりに一度限りのダンサー復帰を果たすと聞き、観に行かずにはいられなくなりました。
『くるみ割り人形』での猫のフェリックスの軽々とした跳躍、『バレエ・フォー・ライフ』のギラギラエロスな世界の中で際だつ透明感あふれる踊り。小林さんの舞台を観た経験は数えるほどしかありませんが、その姿は鮮やかに心に焼き付いています。そして、今回の『M』。また新しい小林さんの姿が胸に刻みつけられました。東京バレエ団のプリンシパル揃い踏みの舞台だったのに、気が付けば小林さんしか見ていない……。なんと言えばいいのでしょう? 踊り進むにつれて、年齢も性別も超えた存在になっていくようなのです……。まさに「シ(死)」そのもの。小林さんの復帰がこの舞台(18日と19日のたった2日間)限りなのはとても残念ですが、この役を演じきってダンサー人生を終えることができたのは彼にとって幸せなことではないでしょうか。そしてそれを見ることができた観客にとっても……。
作品のほうは、三島由起夫論というより、三島をとおしてベジャール自身の、美と永遠なるものへの憧れを表現したもの。まったくエロティックでない日本人ダンサーの体が醸し出す静謐な美の世界はベジャール作品の中でも異色で、私には好もしく思われました。
さて、三島由紀夫について。没後40周年と聞いても何の感慨もわかなかった私ですが、『M』を観たらさすがにさまざまに思いをはせずにいられません。女性嫌悪の通奏低音、肉体改造、楯の会……などなど、生理的にイヤだな~と思える部分は多々あるものの、実は憎みきれない人でもあります。春日井建の処女歌集の序文や、紅顔の美少年との切腹ごっこのエピソード、そのほか、多くの愛人たちが暴露したやさしく気弱な面などを知るにつけ、いとおしさが増します。もちろん小説のおもしろさもピカイチ。今、部屋の本棚にたまたまあった短編集、『殉教』を読んでいますが、本当にうっとりするほどの美しさ、巧みさ。まだ読んでいないものを含めて、いろいろな作品を読み返してみたいです。
『くるみ割り人形』での猫のフェリックスの軽々とした跳躍、『バレエ・フォー・ライフ』のギラギラエロスな世界の中で際だつ透明感あふれる踊り。小林さんの舞台を観た経験は数えるほどしかありませんが、その姿は鮮やかに心に焼き付いています。そして、今回の『M』。また新しい小林さんの姿が胸に刻みつけられました。東京バレエ団のプリンシパル揃い踏みの舞台だったのに、気が付けば小林さんしか見ていない……。なんと言えばいいのでしょう? 踊り進むにつれて、年齢も性別も超えた存在になっていくようなのです……。まさに「シ(死)」そのもの。小林さんの復帰がこの舞台(18日と19日のたった2日間)限りなのはとても残念ですが、この役を演じきってダンサー人生を終えることができたのは彼にとって幸せなことではないでしょうか。そしてそれを見ることができた観客にとっても……。
作品のほうは、三島由起夫論というより、三島をとおしてベジャール自身の、美と永遠なるものへの憧れを表現したもの。まったくエロティックでない日本人ダンサーの体が醸し出す静謐な美の世界はベジャール作品の中でも異色で、私には好もしく思われました。
さて、三島由紀夫について。没後40周年と聞いても何の感慨もわかなかった私ですが、『M』を観たらさすがにさまざまに思いをはせずにいられません。女性嫌悪の通奏低音、肉体改造、楯の会……などなど、生理的にイヤだな~と思える部分は多々あるものの、実は憎みきれない人でもあります。春日井建の処女歌集の序文や、紅顔の美少年との切腹ごっこのエピソード、そのほか、多くの愛人たちが暴露したやさしく気弱な面などを知るにつけ、いとおしさが増します。もちろん小説のおもしろさもピカイチ。今、部屋の本棚にたまたまあった短編集、『殉教』を読んでいますが、本当にうっとりするほどの美しさ、巧みさ。まだ読んでいないものを含めて、いろいろな作品を読み返してみたいです。
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by AngeBleu
| 2010-12-20 23:05
| バレエ
先週末、ご近所の神社、神明宮で「バリ舞踊祭」が開かれると知り、クーラーのきいた部屋を出て、灼熱の町へと出かけていきました。

東京で生のガムランが聴けるなんて、めったにないこと。神明宮の境内という神秘的な空間ともあいまって、どこか遠い世界に来たような気分になりました。大木の間を吹き渡る風も心地よかったです。外界より2~3度気温が低かったのではないでしょうか。

「歓迎の気持ちと、自然と宇宙への感謝を捧げる踊り」だそうです。みなさん、女神のような美しさです。

インドの叙事詩「ラーマヤナ」の中の「スバリとスグリワの物語」を題材にした踊り。

この顔芸がみもの。

おとぼけ3人組? こんなユーモラスな踊りも。
一口にバリ舞踊といっても、宗教的なものから現代史を題材にした創作舞踊までさまざまなものがあるのですね~。衣装も振付けも多種多様で、見ていて飽きません。

能舞台を使った演目。バリ舞踊も能も、あの世とこの世を行き来する……という意味では共通するような気がします。

日が落ちるとますます幻想的な雰囲気に。
神明宮でのバリ舞踊祭は、毎年この時期に行われ、今年で9回目だそうです。長年続いているだけあって、とても充実した内容でした。東京にいながらにして、ひととき南国の楽園気分。来年も楽しみです。





一口にバリ舞踊といっても、宗教的なものから現代史を題材にした創作舞踊までさまざまなものがあるのですね~。衣装も振付けも多種多様で、見ていて飽きません。


神明宮でのバリ舞踊祭は、毎年この時期に行われ、今年で9回目だそうです。長年続いているだけあって、とても充実した内容でした。東京にいながらにして、ひととき南国の楽園気分。来年も楽しみです。
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by AngeBleu
| 2010-08-04 21:13
| おさんぽ日記
ここ数年はパスしていた「マラーホフの贈り物」。一昨年の末、ベルリンで心奪われた「カラヴァッジオ」のパ・ド・ドゥが見られるというので、久々に行くことにしました。ボリショイ組が都合で来られなくなったとかで、当初のプログラムから大幅に変更がありましたが、私はどちらにしてもマラーホフとポリーナ・セミオノワ以外知らないし、結果的にマラーホフが出る演目がひとつ増えたので得した気分♪
マラーホフが出演した作品の感想です。
「ダイヤモンド」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:P・ I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ&ウラジーミル・マラーホフ
ポリーナちゃんは25歳にしてすでに女王の風格。ただ、ロパートキナさんの圧倒的なダイヤモンドを観ているので、そこまでの感動はなかったかな。
「仮面舞踏会」より“四季”
振付:ウラジーミル・マラーホフ/音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ
ポリーナ・セミオノワ&ウラジーミル・マラーホフ
吉岡美佳、上野水香、田中結子、松下裕次、柄本武尊
東京バレエ団
ここでもポリーナちゃんの貫禄が光っていました。東京バレエ団の上野さん、吉岡さん、田中さんのほか、若手男性ソリストたちが一度に観られたのも楽しかった。特に吉岡さんの、春風のように軽く浮遊する踊りが素敵でした。けれど、振付はほんとにクラシックで目を瞠るところがなく、作品としては退屈……ですね。
「カラヴァッジオ」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:マウロ・ビゴンゼッティ/音楽:ブルーノ・モレッティ
ウラジーミル・マラーホフ&レオナルド・ヤコヴィーナ
当初はポリーナちゃんとのパ・ド・ドゥの予定だったのが、男性ふたりのパ・ド・ドゥに変更。この変更はうれしい!! 闇の中にくっきりと陰影を刻むふたりの肉体が、複雑に、ねっとりと絡み合います。あまりにもエロティックで、目のやり場に困る……とはいえ、10倍の双眼鏡で凝視しましたけどね(笑)。もう一度全幕で観たいです~(DVD買いそびれています)。
「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア/音楽:シャルル・カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ
マラーホフのソロ作品として、当初は「ヴォヤージュ」が予定されていましたが、本人の強い希望で、新作の「瀕死の白鳥」に変更されました。もしかしてチュチュ+トウシューズで踊るのか……と一瞬思いましたが、当然そんなことはなく、パンツ一丁のいつものマラーホフスタイル。無駄な動きをそぎ落としたシンプルな振付で、プリセツカヤの白鳥というより、ギリヤーク尼ヶ崎の「白鳥の湖」(「白鳥の湖」と称しているが、曲はサン・サーンス)を思い出してしまった(笑)。死を美化しない、生々しく、悲哀感が漂う白鳥でした。
この日一番感動したのは、実は上記のどれでもなく……フィナーレで見せてくれた、舞台を3歩で横切るグラン・フェッテでした。速い、高い、美しい! そうそう、マラーホフの魅力はこの誰よりも美しい跳躍だった!ということを思い出しました。これを見られただけで、今日は満足です。
もうひとつの収穫は、第3部で「椿姫」“第3幕のパ・ド・ドゥ”を踊ったマリア・アイシュヴァルトとマライン・ラドメイカー(シュトゥットガルト・バレエ団)。第1部の「ボリショイに捧ぐ」から、美青年だなあと思っていたラドメイカーさん、容姿からして「椿姫」のアルマンが似合う、似合う。未熟で心の弱い青年の、これ以上傷つきたくない、でも愛さずにいられない!!という狂おしさが痛いほど胸に迫ってきました。アイシュヴァルトさんの影のあるはかなげなたたずまいも、マルグリットそのもの。難度の高いリフトの連続も全然危なっかしげな様子がなく、お見事でした。この日一番大きな拍手をもらっていたのはこのふたり。このカップルで『椿姫』全幕観てみたいです。
マラーホフが出演した作品の感想です。
「ダイヤモンド」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:P・ I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ&ウラジーミル・マラーホフ
ポリーナちゃんは25歳にしてすでに女王の風格。ただ、ロパートキナさんの圧倒的なダイヤモンドを観ているので、そこまでの感動はなかったかな。
「仮面舞踏会」より“四季”
振付:ウラジーミル・マラーホフ/音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ
ポリーナ・セミオノワ&ウラジーミル・マラーホフ
吉岡美佳、上野水香、田中結子、松下裕次、柄本武尊
東京バレエ団
ここでもポリーナちゃんの貫禄が光っていました。東京バレエ団の上野さん、吉岡さん、田中さんのほか、若手男性ソリストたちが一度に観られたのも楽しかった。特に吉岡さんの、春風のように軽く浮遊する踊りが素敵でした。けれど、振付はほんとにクラシックで目を瞠るところがなく、作品としては退屈……ですね。
「カラヴァッジオ」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:マウロ・ビゴンゼッティ/音楽:ブルーノ・モレッティ
ウラジーミル・マラーホフ&レオナルド・ヤコヴィーナ
当初はポリーナちゃんとのパ・ド・ドゥの予定だったのが、男性ふたりのパ・ド・ドゥに変更。この変更はうれしい!! 闇の中にくっきりと陰影を刻むふたりの肉体が、複雑に、ねっとりと絡み合います。あまりにもエロティックで、目のやり場に困る……とはいえ、10倍の双眼鏡で凝視しましたけどね(笑)。もう一度全幕で観たいです~(DVD買いそびれています)。
「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア/音楽:シャルル・カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ
マラーホフのソロ作品として、当初は「ヴォヤージュ」が予定されていましたが、本人の強い希望で、新作の「瀕死の白鳥」に変更されました。もしかしてチュチュ+トウシューズで踊るのか……と一瞬思いましたが、当然そんなことはなく、パンツ一丁のいつものマラーホフスタイル。無駄な動きをそぎ落としたシンプルな振付で、プリセツカヤの白鳥というより、ギリヤーク尼ヶ崎の「白鳥の湖」(「白鳥の湖」と称しているが、曲はサン・サーンス)を思い出してしまった(笑)。死を美化しない、生々しく、悲哀感が漂う白鳥でした。
この日一番感動したのは、実は上記のどれでもなく……フィナーレで見せてくれた、舞台を3歩で横切るグラン・フェッテでした。速い、高い、美しい! そうそう、マラーホフの魅力はこの誰よりも美しい跳躍だった!ということを思い出しました。これを見られただけで、今日は満足です。
もうひとつの収穫は、第3部で「椿姫」“第3幕のパ・ド・ドゥ”を踊ったマリア・アイシュヴァルトとマライン・ラドメイカー(シュトゥットガルト・バレエ団)。第1部の「ボリショイに捧ぐ」から、美青年だなあと思っていたラドメイカーさん、容姿からして「椿姫」のアルマンが似合う、似合う。未熟で心の弱い青年の、これ以上傷つきたくない、でも愛さずにいられない!!という狂おしさが痛いほど胸に迫ってきました。アイシュヴァルトさんの影のあるはかなげなたたずまいも、マルグリットそのもの。難度の高いリフトの連続も全然危なっかしげな様子がなく、お見事でした。この日一番大きな拍手をもらっていたのはこのふたり。このカップルで『椿姫』全幕観てみたいです。
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by AngeBleu
| 2010-05-19 19:45
| バレエ
ジョン・クランコ振付『オネーギン』の東京バレエ団による日本初演(2日目)を観てきました。
オネーギン:木村和夫
タチヤーナ:斎藤友佳理
オリガ:高村順子
レンスキー:井上良太
グレーミン公爵:平野玲
いやー、よかったです。本家のシュトゥットガルト・バレエを観ている人は、日本人のオネーギンなんて……と思うかもしれませんが、私はこの作品を観るのは今回がはじめてなので、東京バレエ団のために作られたといわれても信じてしまいそう。そのくらい、踊り、衣装、舞台美術、すべてがぴったりとはまっていました。
なかでもすばらしかったのが、タチヤーナの斎藤友佳理さん。最初の場面から、田舎っぽくて地味だけれど内面から美しさがにじみ出ている少女……という雰囲気がよくでていて引き込まれました。オネーギンと出会ったときの心のさざめき、初恋の高ぶり。少女の繊細な心の動きが驚くほど伝わってきます。オネーギンの木村和夫さんも素敵でした。木村さんといえば、『ジゼル』のヒラリオンのイメージ(決して悪い奴ではないが粗野でKYな田舎者)だったのですが(それはそれで好き)、実は都会的でスマートな役が似合うとても美しいダンサーなのですね。
印象的な場面はいくつもありますが、なんといっても圧巻は3幕のパ・ド・ドゥ。踊り、演技……を通り越して、二人の心が火花を散らしてぶつかり合うさまを見ているようで、震えがくるほど。ラスト、ひとり立ち尽くし身もだえするタチヤーナの姿には、涙を流さずにはいられませんでした。カーテンコールで、斎藤さんと木村さんが互いに寄りかかるように立つ姿にも涙、涙。この世で結ばれることのなかったタチヤーナとオネーギンがあの世で結ばれる……という幻影のようにも見えました。
東京バレエ団は本当にいい作品をレパートリーに加えることができましたね。これからも何度も観たいし、ほかのキャストでもぜひ観てみたいです。
オネーギン:木村和夫
タチヤーナ:斎藤友佳理
オリガ:高村順子
レンスキー:井上良太
グレーミン公爵:平野玲
いやー、よかったです。本家のシュトゥットガルト・バレエを観ている人は、日本人のオネーギンなんて……と思うかもしれませんが、私はこの作品を観るのは今回がはじめてなので、東京バレエ団のために作られたといわれても信じてしまいそう。そのくらい、踊り、衣装、舞台美術、すべてがぴったりとはまっていました。
なかでもすばらしかったのが、タチヤーナの斎藤友佳理さん。最初の場面から、田舎っぽくて地味だけれど内面から美しさがにじみ出ている少女……という雰囲気がよくでていて引き込まれました。オネーギンと出会ったときの心のさざめき、初恋の高ぶり。少女の繊細な心の動きが驚くほど伝わってきます。オネーギンの木村和夫さんも素敵でした。木村さんといえば、『ジゼル』のヒラリオンのイメージ(決して悪い奴ではないが粗野でKYな田舎者)だったのですが(それはそれで好き)、実は都会的でスマートな役が似合うとても美しいダンサーなのですね。
印象的な場面はいくつもありますが、なんといっても圧巻は3幕のパ・ド・ドゥ。踊り、演技……を通り越して、二人の心が火花を散らしてぶつかり合うさまを見ているようで、震えがくるほど。ラスト、ひとり立ち尽くし身もだえするタチヤーナの姿には、涙を流さずにはいられませんでした。カーテンコールで、斎藤さんと木村さんが互いに寄りかかるように立つ姿にも涙、涙。この世で結ばれることのなかったタチヤーナとオネーギンがあの世で結ばれる……という幻影のようにも見えました。
東京バレエ団は本当にいい作品をレパートリーに加えることができましたね。これからも何度も観たいし、ほかのキャストでもぜひ観てみたいです。
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by AngeBleu
| 2010-05-16 16:47
| バレエ
NHKの「芸術劇場」(2月18日、22:30〜)で、2009年12月にパリのガルニエ宮で行われたパリ・オペラ座バレエ団『バレエ・リュス・プログラム』が放送されます。演目は「薔薇の精」(マチアス・エイマン、イザベル・シアラヴォラ)、「牧神の午後」(ニコラ・ル・リッシュ、エミリー・コゼット)、「三角帽子」(ジョゼ・マルティネズ、マリ・アニエス・ジロ)、「ペトルーシュカ」(バンジャマン・ペッシュ、クレールマリ・オスタ)。個人的には、ニコラ・ル・リッシュの「牧神」がすっごく楽しみです。
2009年は、バレエ・リュスが設立されてから100年目の記念の年だったそうです。そういえば去年の12月、ニース・コート・ダジュール空港を使ったとき、空港内のポスターや展示物がすべて「バレエ・リュス100年祭」のものでした。「バレエ・リュス」は一時、コート・ダジュールのモナコ(モンテカルロ)に本拠地を置いていたことがあるのです。「薔薇の精」は、モンテ・カルロのオペラ劇場で初演されました。私はよく夢想するのですが、もし一度だけタイムマシンに乗れるなら、迷うことなく1911年のモナコに行くでしょう。そして、ニジンスキーの薔薇の精、その伝説の跳躍を見るのです・・・・・・

ニース空港にて。ニジンスキーの「薔薇の精」

ペトルーシュカになって記念撮影?(^_^;)
バレエ・リュスとは(NHK『芸術劇場』の解説より)
1909年、フランス・パリでバレエ界に革新を起こした「ロシア・バレエ団」、フランス語で「バレエ・リュス」。ロシア人興行師ディアギレフが、ニジンスキーを含めたロシア帝室バレエ団のダンサーたちを率い、ストラヴィンスキーの音楽、画家バクストの舞台装置など最先端のロシア芸術を結集した伝説のバレエ団である。ピカソやジャン・コクトーなど、パリで活躍していた時代の寵児たちも大きく関わり、バレエ史上に残る数々の傑作を生みだした。
2009年は、バレエ・リュスが設立されてから100年目の記念の年だったそうです。そういえば去年の12月、ニース・コート・ダジュール空港を使ったとき、空港内のポスターや展示物がすべて「バレエ・リュス100年祭」のものでした。「バレエ・リュス」は一時、コート・ダジュールのモナコ(モンテカルロ)に本拠地を置いていたことがあるのです。「薔薇の精」は、モンテ・カルロのオペラ劇場で初演されました。私はよく夢想するのですが、もし一度だけタイムマシンに乗れるなら、迷うことなく1911年のモナコに行くでしょう。そして、ニジンスキーの薔薇の精、その伝説の跳躍を見るのです・・・・・・


バレエ・リュスとは(NHK『芸術劇場』の解説より)
1909年、フランス・パリでバレエ界に革新を起こした「ロシア・バレエ団」、フランス語で「バレエ・リュス」。ロシア人興行師ディアギレフが、ニジンスキーを含めたロシア帝室バレエ団のダンサーたちを率い、ストラヴィンスキーの音楽、画家バクストの舞台装置など最先端のロシア芸術を結集した伝説のバレエ団である。ピカソやジャン・コクトーなど、パリで活躍していた時代の寵児たちも大きく関わり、バレエ史上に残る数々の傑作を生みだした。
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by AngeBleu
| 2010-02-18 17:32
| バレエ
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